出廷した水原被告(右は住んでいたニューポートビーチの自宅)
ドジャース・大谷翔平(30)の口座から約26億円を不正送金したとして、銀行詐欺罪などに問われていた元専属通訳・水原一平被告(40)。2月6日(現地時間)には禁錮4年9か月、賠償金約26億円の支払いを言い渡された。“スーパースターの元相棒”はなぜ、前代未聞のスキャンダルを起こしたのか。その父親・水原英政(65)が事件の詳細について、重い口を開いた。ノンフィクションライター・水谷竹秀氏がレポートする。(文中敬称略)【全3回の第2回。第1回から読む】
フジテレビの直撃に滲ませた怒り
英政に接触を試みた昨年10月半ばは、ドジャース対ヤンキースのワールドシリーズを直後に控えていた時期だ。一方で水原はその後の捜査当局の調べで、大谷の口座から総額約26億円をスポーツ賭博の違法な胴元側に送金していた事実が判明した。司法取引に合意の結果、量刑は禁錮4〜6年程度に減刑されると予想された。その量刑言い渡し公判も12月下旬(のちに2月6日に延期)に迫っていた。
水原の私生活も、現地メディアに暴かれた。6月上旬にはウーバーイーツの配達員として働いていた様子が激写され、即座に解雇された。8月下旬には、引越し先の新居で買い物帰りの荷物を持った水原と妻の後ろ姿が激写された。「大谷を裏切るなんて……」と、ネットでも散々叩かれた。
水原はもはや、堂々と街を歩けない状態だったに違いない。その火の粉は、父である英政にも降りかかっていた。
「YouTubeでは父の人生終わったというタイトルの動画がアップされているし。適当に一平のことをネットで見ていると(そういう動画が目に)入ってくるじゃん。見たらわかるよ。まあ、俺は別に何を言われても構わないんだけどね」
そう語る英政は苦笑いを浮かべた。後に確認すると、〈水原一平の父も完全に人生終了〉というタイトルで、水原の違法賭博による生活や仕事への影響について、英政の複数の写真とともにAIの音声が解説した49秒の動画が上がっていた。