JR・京成電鉄の成田駅から徒歩5分。成田山新勝寺に向かう参道に入ってすぐ、ガラス張りの瀟洒(しょうしゃ)な店構えの『加藤友三郎商店』。3代目の加藤伸介さん(44歳)が「場所柄、観光客や外国人客も安心して入れるように外から店内が見える設計にした」と語るこの店は、老舗酒屋が2年前にオープンした角打ちだ。狙い通り、「一人で来る女性客も多いですよ」(30代、空港関係)と連日、多様な客で賑わっている。
ガラス張りで外から中がよく見える店内で、皆が楽しげに盛り上がる
成田といえば、国際空港のある地。日本の玄関口だけあって、外国からの観光客、国内外のエアライン関係者、新勝寺の参拝者などさまざまな人が滞在している土地柄だ。
成田駅周辺には、もともと飲食店が多く、「自分にちょうど良い加減の店が必ず1軒や2軒あるんですよ」と3代目の伸介さんは語る。
「”空港城下町”というか、ともかく、サービス業に就く人が多い街なんでね。仕事を終えて、いざ自分がサービスされる側に回るときにどこで飲むかは、みんな目が肥えている気がしますね」(50代、電気設備業)
「本店の『加藤友三郎商店』は、初代である祖父が、成田空港が開港するということで、昭和46年に成田市で酒・米・塩の商いを始めたのが成り立ちです。初代のころは、角打ちをやっていたのですが、今は業務用酒販店。このたび、別部門として、この新勝寺参道で角打ちを復活させました。店名は祖父の名前です」(3代目店主)
この角打ちで店長を任されているのは、3代目からの信頼が厚い木内孝光さん(44歳)。イタリア料理店に16年勤め、シェフになった経歴の持ち主だ。店長自ら腕を振るうつまみを目当てにやってくる地元のリピーター客も多い。
店長の木内孝光さん。3代目店主から店を任され、料理にも腕を振るう
「ここまで料理に力を入れている角打ちって、実はあまりないんじゃないかな。一人で来てもOKだし、お酒が気持ち良く進みます」(40代、地元の主婦)
「おかげさまでたくさんのお客さまが来てくれて賑わっています。24時まで開いているので、夜の商売が終わった人も最後に飲みに来ますしね。混んできて、オーダーが立て込むと、厨房の調理スピードを上げて一生懸命やっています。お待たせしないかと、ハラハラしたり、スリルがあったりして、やっていて面白いですよ」(店長の木内さん)