成田の地元客と外国人客が融合する店
厨房からは焦がしニンニクの良い香りが漂ってくる。洋風にアレンジされた魚料理に舌鼓をうつ常連客は、「遅くまでやっているので、ホテルに泊まる人、地元で働く人も寄りやすい。いい酒と旨いつまみで、みんなが仲良く渾然(こんぜん)一体となれて楽しい店です」(40代、公務員)と話しながら、近くの席にいる別の常連客と親しげに盛り上がっていた。
店長の木内孝光さん。3代目店主から店を任され、料理にも腕を振るう
「『ここは大丈夫だし、面白いから』という誘い文句で先輩が連れてきてくれたのが最初です。自分の好みにぴったりで重宝しています。いい具合に息抜きができるといいますか、安心して飲めますね」と語る30代の空港関係者は、今宵もリラックスした表情で楽しんでいる。
旨い料理を肴に笑顔が途切れることはない
厨房を覗けるカウンターを陣取って飲んでいた地元生まれの夫婦客はこう話してくれた。「この店は外国人客しかいない日もあります。日本に旅行に来て最後の夜をここで楽しむ人も多いんじゃないかしら。お昼は成田名物の鰻を食べて、栗饅頭をお土産に買って、最後にここで飲んで。いい旅の思い出ができると思うわ」(50代の妻)。
夫(50代)は、「地元民は、ほかに行かずに成田で飲んでばっかりなんだよ。そこへ他所の街から色んな人が来る。話をしてみるとやっぱり面白いよね。いろんな話が聞ける。ここは昔から水が良くてきれいだから鰻と栗がうまい。このあたりで育つ多古米もうまい。それがいきなり、アジアや欧米の人と直接繋がっちゃうから不思議で、刺激的っていうかさ。賑やかで華やかになっていいよね」と話を繋ぐ。
老若男女、先輩後輩・・・初めての客もすぐに仲間のように馴染む
垣根なく、さまざまな人が行き交うターミナル駅のような角打ちは、成田駅周辺にまた新しい風を吹き込んでいるようだ。
「この店では、いろんな人や出来事がすれ違いますからね、なおさら、皆さんに千葉の良さや成田の良さを覚えて帰っていただきたいですね。そのことは常に私の胸の内にあります」(3代目、伸介さん)
そこへ「やあ、こんばんは」、とまたひとり客がやって来た。ざわめきのなかで、馴染み客が駆けつけにまず傾けるのは、焼酎ハイボール。「やっぱりこれ。すっきり辛口で最高!」(50代、クリーニング業)
店長が腕を振るう料理は大人気。「『焼酎ハイボール』のようなガツンとした炭酸の酒によく合うと思います」(店長の木内さん)
■加藤友三郎商店
【住所】千葉県成田市花崎町839-12
【電話】0476-33-7070
【営業時間】11時半~24時 年中無休
焼酎ハイボール220円、ビール中びん500円、ホタテの味噌バター焼き600円、チキンのガーリックソース1000円