事件があった202号室の見取り図(関係者の証言などによる)
かなわなかった「対面」
Aさんの姉も、自身の責任の所在を曖昧にするような修被告の態度に憤りを感じている。
Aさんの姉「娘を野放しにしてこのような結果を招き、娘を止めなかった被告人にも大きな責任があります。犯罪願望があった娘を仕向けたと思うのが当然です。全ての経緯や状況を正直に説明してほしいと強く思います」
遺体の損壊が激しかったせいで、弟との“最後の対面”は叶わなかったという。
Aさんの姉「火葬場では弟との対面を望みましたが、刑事さんから『遺体が変わり果てている』と言われ、納体袋を開けることすら叶いませんでした。家族の強い憎しみは今も癒えることはなく、それは弟家族も同様です。
被害者にも家族があります。それぞれの思いが癒やされることなく、怒り、悲しみの中で生活しています。前例のない犯罪に対しては前例のない刑罰にしないといけません。被告人には前例のない重い処罰を望みます」
弁護側は全面無罪を主張しているが、検察側は懲役10年を求刑。判決は3月12日に言い渡される予定だ。たとえどんな刑が下されたとしても、遺族の心の傷が完全に癒えることはないのだろう──。
◆取材/高橋ユキ(ジャーナリスト)