公判を終えた父・田村修被告
2023年7月、札幌市・ススキノのホテルで男性の遺体が発見された事件。逮捕された親子3人のうち、父・田村修被告(61)の10回目の裁判員裁判が2月18日に札幌地裁で開かれた。殺人ほう助や死体損壊ほう助などの罪に問われている修被告の裁判はこの日、検察側の論告・求刑などが行われ、ついに結審した。
娘・田村瑠奈被告(31)は、殺人や死体損壊などの罪に問われている。争点となっているのは、“修被告はどこまで娘の犯行計画を知っていたのか?”ということだ。これまで裁判を傍聴してきたジャーナリストの高橋ユキ氏が解説する。
「修被告は日常的に、瑠奈被告が出かけるときの送迎や買い物の付き添いなどを担当していました。犯行に使われたナイフやノコギリなどは、事件直前、修被告が瑠奈被告に買い与えたものです。瑠奈被告を被害男性との待ち合わせ場所に車で送り届けてもいます。
また、修被告は、瑠奈被告が被害男性の切断した頭部を弄ぶ様子を撮影しました。検察側は、『被害者を殺害し遺体を持ち帰り弄ぶ計画を知っていた』『被告人の関与がなければ瑠奈被告の計画は実現不可能』などと指摘しています」
一方の弁護側は、全面無罪を主張している。前出の高橋氏によると、弁護人は時に語気を強めたり、くだけた口調を交えながら、検察側の指摘に反論したという。
事件直前、修被告がナイフやノコギリを娘に買い与えた点について、弁護人は、「もともと殺人や損壊のための道具ではない」と語った。
弁護人「特にノコギリは事後的に使ったと言えるとして、買ったから(遺体を)損壊すると思うか? どう考えても無理でしょ! 殺害、損壊目的だと推認するのは無理がある」
弁護人は、修被告と妻・浩子被告(62)には「娘を手伝う動機がない」と述べる。
弁護人「ふたりには瑠奈を手伝う動機がないし、瑠奈をとても大事にしていた。(瑠奈を)現場まで連れて行くと生活が終わる。そこまで被害者の殺害を手伝いたい動機はありますかね?」