N党の立花氏への情報提供について記者会見し、質問に答える兵庫維新の会の増山誠県議(左)。中央は岸口実県議、右は白井孝明県議。2月23日(時事通信フォト)
兵庫県の百条委員会における情報漏洩について、漏洩した所属県議会議員を調査した当初は「大きな違法行為があったわけではない」と述べていた日本維新の会。ところが、当事者がインターネット番組でみずからの行動を正当化するような言動をしたことで党へ批判が殺到し、厳正な処分をすると決めた。2月26日に最も重い除名処分と離党勧告が発表された2名の議員は、辞職をせずに無所属で活動すると表明している。臨床心理士の岡村美奈さんが、渦中の兵庫県議会議員たちの“言い分”について分析する。
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兵庫県知事選で、NHKから国民を守る党党首、立花孝志氏に真偽のわからない情報を漏洩した日本維新の会(以後、維新)の兵庫県議たち。その会見で見えてきたのは、彼らの内にあるだろう「モラル信任効果」だ。
2月23日、会見を行ったのは維新所属の兵庫県議、岸口実氏、増山誠氏、白井孝明氏の3人。岸口氏は告発者の私的情報や百条委委員だった元県議への中傷などを含む真偽不明、作成者不明の文書を立花氏に渡し、増山氏は斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ疑惑などを調査する百条委員会の非公開音声データと自作の文書を立花氏に提供。白石氏は情報提供を目的に立花氏に電話で連絡を取っていた。
時間無制限で行われた5時間半の会見で、3人に反省の色は見えなかった。謝罪こそしたものの、3人とも淡々と自分の正当性を主張した会見だったからだ。その理由の1つが、彼らが持っている「モラル信任効果」だろう。「モラルライセンシング」とも呼ばれるこのバイアスは、社会的に意義のある仕事や尊敬されるような仕事、社会貢献活動などをしている人が、周りから信頼されている、信任されていると感じると、少しくらい非倫理的な行動をしても許されると思い込んでしまうことだ。自分は社会の役に立っている、立派な仕事をしていると思うがゆえに、多少のモラル違反や不正行為をしても許されるだろうと考える。
岸口氏は「(立花氏に会ったのは)本当に軽率だったとしか言いようがない」と述べながら、事実がどうかわからない文書を立花氏に渡した。内容は把握していたというから、立花氏に渡せばそれが選挙戦でどのように使われるか、推測はつくはずだ。そこに書かれていた情報から、立花氏は百条委員だった竹内英明氏を兵庫県知事失職の黒幕と断定し情報を拡散。竹内氏はSNSなどの誹謗中傷を受け、議員辞職後に亡くなった。