兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)に臨む竹内英明委員(左端、故人)、岸口実副委員長(右端)、増山誠委員(右から2人目)ら。手前は同県の片山安孝前副知事。2024年9月6日(時事通信フォト)
岸口氏は「この文書自体が竹内氏のみを攻撃したものではないと思っている」と弁明。だから県議団の団長で百条委員会の副委員長でもある彼が、文書を立花氏に渡しても許されると思ったのか。斎藤氏の再選を目指して立花氏に会ったのではないと主張した岸口氏だが、彼の行動はそれを望んでいたと捉えられても仕方がない。
「録音データを外部に流出させたことはルール違反でございます」と頭を下げた増山氏は、立花氏によって情報が拡散されることを意図していた。「マスコミに渡しても公開されない」と考えたというが、マスコミが真偽不明の情報を出すはずがない。この発言の裏を返せば、この時点で真偽不明の情報だと認識していたようなものだ。だが彼はこれを事実、ファクトとして「県民が多くの事実を知った上で選挙に臨むべきだと思った」「斎藤知事だけが悪者のように報道されている現状はフェアではないと思った」と述べた。
自らに拡散力がないため立花氏に渡したというが、なぜ維新の吉村洋文代表に渡さなかったのか。矛盾点はいくつもある。立花氏に提供した自作文書には亡くなった職員の真偽不明の私的情報が記載されていたと認めたような行動でありながら、それが事実と思い込んでいたと主張する言動。立花氏についても「今でもデマを言っていたとは認識していない」と言えてしまうのは、そのためだろう。公平な選挙を望んだというより、斎藤知事を是が非でも応援したいという気持ちが強かったのと思われる。
会見で「百条委員として真実を追求することと、県民が知るべき情報を伝えることの両方の使命が私にはある」というが、これは意味のある仕事をすればルール違反をしても許されると考えてしまうモラル信任効果そのものだ。選挙への影響を考慮して非公開にされた情報、それも秘密のはずの委員会をわざわざ自ら録音して、立花氏にカラオケボックスで渡した。
維新は岸口氏に除名処分、増山氏に離党勧告、白石氏については継続協議をするという。1人の命が失われたことに関わるかもしれない情報漏洩だが、今後、3人が何らかの罪に問われることはあるのだろうか。