水野美紀(みずの・みき)/三重県出身。主な出演作にドラマ「踊る大捜査線」シリーズ、「探偵が早すぎる」、連続テレビ小説『スカーレット』など。今年5月上演の舞台「ケムリ研究室no.4『ベイジルタウンの女神』」(東京・世田谷パブリックシアター)に出演予定
「蔦重はよく駄洒落のような言葉遊びをしていますが、いねに対して、いらっとするタイミングで言う場面もあるんです。するといねがキッとにらみ、蔦重が何も言っていないような顔をする。そうした目線のやりとりに、お互い遊びを入れたりすることもあります。現場では蔦重の『ありがた山』が流行っています。差し入れがあると皆さん、『ありがた山です!』と言いながら食べたりして(笑)、私も使っています」
眉は特殊メイクで30分を費やす
第1回では、既婚者である女郎屋の女将に眉毛がないこと(引眉)も話題になった。
「眉毛のあるなしで顔の印象ってすごく変わりますね。あれは特殊メイクなんです。仕上げるにも落とすにも30~40分かかって、いね役に入るスイッチになっています。眉毛には人格が現れるので、隠れると無表情に見えがち。さらに特殊メイクをするとおでこが少し動かしづらくなるので、どうにかおでこを動かして目で感情を伝えられるよう、意識しています」
さらに水野は、いねを演じるために眉毛を剃って臨んでいるという。
「撮影の直前になると、眉毛を脱色して極限まで剃っています。ウチの子はその顔がすごく怖いみたいで、早くクランクアップしてほしい、ということは言われています(笑)。『生えてくる? 大丈夫?』って、私の眉毛をすごく心配しているんです。
子どもも小学生になって、舞台なども一緒に観に行けるようになりました。撮影の合間に計画を練って、オフにでかけることがリフレッシュになっています。先日は親子で浮世絵を観に行きました。北斎のデジタルアート展が圧巻で、親子で夢中になって。子どもは一度だけ、『べらぼう』の撮影現場に来させてもらったことがあるんです。とても印象に残ったようで、作品のことはすごく気にかけていますよ」
放送が始まり、「子どもがべらぼう、べらぼう、ってよく言っています」と、楽しそうに日常を語る。眉毛を心配していたかわいらしいエピソードも、将来、成長したわが子と振り返ってきっと笑い合える――。そんな幸せな情景を想像しながら、「家族にとっても、まちがいなく想い出深い作品になりそうです」と、水野は母親の顔をほころばせた。
【プロフィール】
水野美紀(みずの・みき)/三重県出身。主な出演作にドラマ「踊る大捜査線」シリーズ、「探偵が早すぎる」、連続テレビ小説『スカーレット』など。今年5月上演の舞台「ケムリ研究室no.4『ベイジルタウンの女神』」(東京・世田谷パブリックシアター他)に出演予定。
取材・文/渡部美也