ペルシャ絨毯やクマの毛皮など派手なインテリアは需要が少ない(写真提供/イメージマート)
肩の刺青は問題なかったのか
独り暮らしか聞けば「一緒に暮らしているパートナーがいる」とほほ笑んだが、姐さんの肩に刺青があったのをかつて見たことがある。海外のアスリートや芸能人が入れているようなタトゥーではない。見れば彼女の過去が推測できるのだが、問題はなかったのか。姐さんは「相手は警察で仕事をしていた人。もう引退しているけどね」とカラリと言った。警察官とヤクザの元姐なら、敵対するような組み合わせだが「悪い人ばかりをいっぱい見てきた人だから、私の過去を知っても驚かなかった」。
知人の紹介で出会ったといい「普通の公務員だと紹介されてね。でもなんか雰囲気が違うなって思っていたら、向こうも”この女、な~んか普通じゃいないぞ”って思ったんだって。お互いそういう嗅覚は敏感だったみたい」。暴力団担当といわれたマル暴の刑事は、風貌や雰囲気がヤクザに似るというのは警察のあるあるだが、マル暴の刑事でなくても、警察官という職業から漂う匂いがあったのだろう。
「最初は公務員の感覚に慣れなくて。何をするにもケチくさくてびっくり」という姐さんは、待ち合せ場所まで電車と地下鉄を乗り継いできていた。「私が電車に乗るなんて昔は考えられなかった。今はタクシー代がもったいないと言われれば、そうだなと思うようになって。ずいぶん安い女になったけど、今の生活は穏やか」という。
「老後を考えたらヤクザより公務員。年金もあるしね」と笑う姐さんは幸せそうだった。