事件があったススキノのホテルの浴室(利用者提供)
「雰囲気を察して」損壊を動画撮影
浴室での遺体損壊場面に質問が移る。修被告は瑠奈被告の損壊行為を撮影していた。検察側は、そういった行為が瑠奈被告の損壊行為のほう助になっていたと指摘している。以下は、修被告が主張した撮影の一部始終だ。
撮影以前に、修被告はすでに瑠奈被告によって摘出されビンに入れられていた左眼、舌の一部を見せられていたという。ここでの主張は、損壊行為は撮影を伴わなくても実行されているというものかと思われる。
浩子被告に頼まれ、カメラを持って浴室へ向かう修被告。その時点では何を撮影させられるのかわかっていなかった。浴室では、皮膚が剥がされ、全体的に薄桃色の頭部があった。おもむろに瑠奈被告はビンの中の眼球を手の平に乗せる。
瑠奈被告からは特に撮影開始などの指示はないが、修被告は雰囲気を察しその様子を撮影し始めた。修被告は浴室からでなく、洗面所からズームをしてディスプレイを見ていたという。浴室の照明はそれだけで明るさは充分であったが、修被告はペンライトで対象を照射して、ピントを合わせてから撮影した。このペンライトは精神科医としての仕事で使うためのもので、仕事帰りだったのでたまたま手元にあったものを使った。
撮影された動画は全部で8ファイルあったが、裁判で審理対象となっているのは、右眼球を摘出するシーンを撮影している1ファイルのみ。そのファイルも、瑠奈被告からの撮影指示があるわけでないので、動画は“作業”が十数秒始まってから行われた。動画には音声が入っているが、撮影やペンライトの照射の指示の声などは入っていない。