2024年8月、ドラッグストアで売り切れの米売り場(時事通信フォト)
埼玉県内で雑貨輸入業を営む中国籍の女性(50代)も昨年秋頃、ビジネス仲間の中国人や東南アジア人らと一緒に金を出し合い、大量の「新米」を購入した。現在も県内の貸倉庫に「保管」していると話すが、トラブルになっていると打ち明ける。
「知らない業者から”米を安く売らないと(米を貯め込んでいると)日本人に言いつける”なんて、仲間内からの脅迫みたいなこともある。しかも、高値で売れると思っていたのに、SNSやアプリ(フリマアプリ)を使ってもほとんど売れない」(中国籍の女性)
女性は2024年から2025年にかけて、本職の雑貨輸入業で付き合いがある同郷出身の経営者から「米を買わないか」と何度も打診された。また、その際に「米は値上がりしているから必ず儲かる」とも念押しされたという。しかし、手元に届いた大量の米は、それぞれ産地名の記載もなく、袋もバラバラの米だった。
「料理店をやっている(同胞の)友達に見せても、これは買えない、レベルの低い米だと笑われました。自分たちで食べようにも確かに美味しくない。保管も出来ないし、なんとかして売りたい」(中国籍の女性)
買い占められた米の行方
日本人の食事には絶対に欠かせない「米」だから、足りなくなれば高くても日本人は「買う」に違いない、そんな思惑が米を買い占める外国人たちにはあったのかもしれない。しかし、欠かせないものだからこそ、それは絶対的に安心できるものでなければならない、という日本人の感覚までは理解できなかったのではないか。
東京都内の米問屋の男性店主(50代)が吐き捨てるように言う。
「今回の米不足は政府の減反政策が影響していることも間違いないが、普段米屋から米を買ってくれている人たちには、多少高くとも、不足なく行き渡っています。要は、スーパーで買うことが出来ていた安い米が、よくわからない人たちに買い占められたんですよ」(米問屋店主)
店主は、保管状態のよくない買い占められた米の行方に気をもんでいるとも話す。
「まもなく冬も終わる。買い占められた保管状態の悪い米は、暖かくなるとコクゾウムシなどの害虫も湧くでしょう。一般の方々が思うより、米の保存は温度管理など難しいのです。虫が湧けば、品質が落ちて食べられたものじゃなくなる。ちょうどのその頃、政府が放出する備蓄米も世間に出回り、米価が値崩れを起こすかもしれない。そうなると、質の悪い買い占め米は行き場をなくす。それがどこに出回ってしまうのか、とういうことです」(米問屋店主)