大山悠輔(時事通信フォト)
岡田路線は変えてもいい
現状、藤川監督は岡田路線からの転換を図っているように見える。
岡田監督は「ポジション固定」を信条としたが、キャンプで藤川監督は1人の選手を複数のポジションにつける“危機管理シフト”を提唱し、佐藤輝明(25)をライト、木浪聖也(30)をサード、中野拓夢(28)をショートにして守備練習をした。さらに昨年まで4番に固定していた大山悠輔(30)を5番に置き、森下翔太(24)を新しい4番に据える構想も披露した。
こうした「藤川カラー」を江本氏はこう見る。
「監督になったからには前任者のやり方を踏襲する必要はなく、自分のやりたいようにやればいい。問題は自分の理論を信じ切れるか。たとえば3番佐藤、4番森下、5番大山のクリーンナップが機能しなくなった時に、泰然自若と構えられるか、『岡田監督時代の打線に戻したほうが良いのか』とあたふたするのか。伝統ある球団だけに外部の批判も大きい。そこで真価が問われるでしょう」
現役時代は花形選手で、コーチ経験なしに監督となった例では日本ハムの新庄剛志監督(53)もいる。就任1~2年目は最下位だったが、昨季はチームを6年ぶりのAクラスに導いた。
「実績のあるベテランが多い阪神と若手中心の日ハムを単純比較できないが、新庄監督が1年目から『投手は完投が当たり前』という野球観を打ち出し、徐々にそれが浸透して強くなったのは確か。監督に信念があれば選手に伝わり、結果は自ずとついてくる。藤川監督も周囲の声に迎合せず、1年目は結果を恐れず自分がやりたい野球を貫いてほしい」(江本氏)
虎党の熱い期待を背負い、藤川監督はどのような戦いを見せるか。
※週刊ポスト2025年3月14日号