ジャンボ軍団が指南「飛ばなくてもスコアアップ」5つのコツ
昔とは“正反対”の考えに
そこで健夫が口にしたのが「急に飛ばなくなった」という冒頭の発言だ。
「以前は飛距離についての質問は全部断わっていたんだよ。“ドライバーの悩みなら（ショートゲームで勝負する）芹沢（信雄）に聞け”と言ってたの。それが今は色々考えるようになった」
その言葉を受け、アマチュアのシニアゴルファーがスコアをよくするための対策を聞くと、「足を使わないことだね。あと、軽いクラブを選ぶこと」と健夫は応じた。男子ツアーの現場を長く取材してきた記者は、その言葉に耳を疑った。
健夫はドライバーショットがジェット機のような速さで飛ぶことで“ジェット”の異名を取った。軍団ナンバーワンの飛距離の源は、トップからインパクトにかけて「右から左へ大きく体重移動する」という持論にあった。下半身リードで、上半身が遅れてインパクトする。それに際しての体重移動が大胆すぎるほどに大きく、下半身を激しく動かすことでビッグドライブを生み出していた。そうしたかつての持論と“正反対”の考えに健夫は達していたのだ。
「今もジュニアには下半身で飛ばせとか、下半身リードでクラブを振れと指導しているよ。俺もそうやって飛ばしてきたし。でも、年齢を重ねたら“逆”になるんだよ。可能な限り下半身を動かさず我慢して、できるだけ上半身だけで打つ。これがポイントになるんだ」
考え方の変化の前提には、下半身の筋力が弱ってきたことがあるという。
「そういう状態で大きく体重移動すると、クラブヘッドがバラバラな軌道で入ってくるようになり、打ち出しの方向性が狂って芯も外してしまう。結果、さらに飛距離が落ちるという悪循環にハマってしまうんだ」（同前）
それゆえ“下半身を使わない打ち方”のほうがスコアメイクにつながるというわけだ。具体的な振り方のコツは別掲図にまとめたが、健夫はこう解説した。
「アドレス時の左足をインパクトする時のかたちにして構えること。その状態を維持しながら上半身を回転させて振る。もちろん、（下半身を）全く使わないのは無理だけど、使いすぎない。『左膝』を動かさない意識が重要で、位置や高さをできるだけ固定する。
今のクラブは下半身を使わなくてもある程度、ヘッドが走ってくれる。この打ち方に合うのが最新の軽いクラブ。軸を動かさず、上半身がクラブに引っ張られるように回転するスイングを目指すといいよ。振るのではなく、クラブに振られるイメージだね」
