初の二人芝居に挑む吉岡里帆と蓮佛美沙子
「稽古を重ねるうちに、どんどん距離が近づいている感覚があります」──女優の吉岡里帆と蓮佛美沙子が、初共演する舞台の公演を目前に控え、笑顔でそう話した。能登半島地震復興祈念公演として、3月5日から23日まで石川県七尾市の能登演劇堂で上演される舞台『まつとおね』の稽古に励む二人に、舞台にかける意気込みを聞いた。
* * *
吉岡里帆が演じる「まつ」は、加賀百万石を治めた前田利家の妻。蓮佛美沙子が演じる「おね」は、豊臣秀吉の妻。固い友情で結ばれ戦国時代を生き抜いた「まつとおね」を、二人はどのように演じるのだろうか。
吉岡:まつは石川県の皆さんにとってなじみのある方ですから、地元の方に納得していただける、説得力あるまつを目指しています。聡明で決断力があって夫をたてて……というイメージの一方で、おねさんとの関係ではチャーミングな一面があったり、妹的な柔らかい印象のシーンもあったり。おねさんの前だけは気を許している部分があると思って演じています。
蓮佛:おねはおおらかで親しみやすい人物として描かれることが多く、今回の舞台でもコミカルな描写があります。一方で時代に翻弄されて鬼になってしまうといった面もあり、多面性のあるキャラクターとして演じています。役づくりには、里帆ちゃんからも影響を受けています。稽古での里帆ちゃんは「こんな頑張り屋さんがいるんだ!」と思うほどひたむきで、見ているとなんだかすごくハグしたくなるんです。
吉岡:嬉しい。すごく嬉しくなっちゃいます。
「稽古を重ねるにつれ、距離が近づいてきた」
仕事では初顔合わせとなる二人。2月上旬から稽古を重ねる中でどんどん関係が深まってきたと明かす。
蓮佛:役柄としても姉妹のような関係性ですが、稽古を重ねていくにつれておのずと私達自身もどんどん距離が近づいている感覚がありますし、これから能登で本番を迎える中でより関係性が濃くなっていくことへの期待もあります。
吉岡:最初にこの復興祈念の舞台のお話をいただいた時に「難しい挑戦だから、どなたと一緒にできるかがすごく大事だな」と思っていましたが、蓮ちゃんがおね役になり、安心と信頼を感じています。まつはおねさんのことを「あねさま」って呼ぶんですけど、蓮ちゃんは頼もしくて格好よくて、まさに頼りになる「あねさま」です。
蓮佛:頼りにしているのは、私も一緒。お互い二人芝居は初めてなので、持ちつ持たれつ、支え合いながらやっていけたらと思っています。