中高年世代はマッチングアプリをどう使っているのか(イメージ)
中高年世代でマッチングアプリが流行中だという。そこでは、どのようなやりとりが行われているのか。そして、安全なものなのか──。実際にマッチングアプリを活用しているというユーザーにその実情を聞いた。
IT業界の市場調査を行なうMMD研究所のリサーチ(2023年)によれば、マッチングアプリの利用経験者は40代で33%、50代で19%、60代でも13%にのぼる。
「マッチングアプリは大小含めて100種類近くありますが、なかでも利用者数が増え続けているのが、中高年向けのアプリです」
こう話すのは、婚活業界に詳しいジャーナリストの倉田達也氏。40代以上限定のマッチングアプリ『ラス恋』が4か月(2024年9~12月)で登録者を6倍に増やすなど、その勢いは増すばかりだ。
「生涯未婚率が高まり、40~60代の独身者は1500万人超。婚活企業がこれを商機と捉え、ミドル・シニア向けのマッチングアプリが次々に登場しています」(倉田氏)
利用者は独身者ばかりではない。
「多くは独身者向けですが、一部のアプリでは既婚者の利用可を謳うものもあります」(同前)
もちろんアプリを利用すれば必ずしも出会えるわけではない。プロフィール登録から、実際に会った時のアプローチなど、乗り越えなければならないハードルは多い。
容姿より趣味
59歳の会社員男性Aさん(埼玉県在住)は、昨年夏にマッチングアプリを通じて10歳下の交際相手を見つけた。アプリを始めてから彼女と出会うまでの出来事を振り返る。
「最初のポイントはプロフィール欄の写真でした。当初は自撮り写真にしていたのですが、表情が硬くて、『いいね』も全然来ませんでした。そこで写真館に行ってプロのカメラマンに撮影してもらったんです。そこからはメッセージをやりとりできるケースが増えました。カメラマンに自然な笑顔を引き出してもらえたのが良かったみたいです」
当初は好みの容姿の女性にメッセージを送っていたAさんだが、うまくいかなかったと明かす。
「話題が噛み合わないんです。そこで共通の趣味を持つ女性を探すことにしました。そのほうが自然とラリーが続くと思ったんです」
登山が趣味というAさんは、プロフィール欄に「アウトドア好き」と書かれた40代女性にメッセージを送信すると、すぐに返信がきた。その後、これまでに行ったことのある山の話題などで盛り上がったという。
「そこから実際に会うまで1週間もかからなかった。その時に出会った女性がいまの交際相手です。外見より趣味の一致が大切だと実感しました。また経験上、最初のデートはディナーではなくランチのほうがいい。池袋のカジュアルなイタリアンでのランチにしたのですが、それが好印象だったみたいで。“最初からディナーだったら少し抵抗感があったかも”と後から彼女に言われました」