腕組みをするウクライナのゼレンスキー大統領(左)と尖頭のポーズを見せる米トランプ大統領(CNP/時事通信フォト)
ウクライナのゼレンスキー大統領と、米国のトランプ大統領による停戦を目指した2月28日の会談が怒鳴り合いで決裂するとは誰も想像していなかっただろう。臨床心理士の岡村美奈さんが、世界中にニュース映像として公開された「怒鳴り合い会談」で見せた手と指の動きについて分析する。
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これまで誰も見たことがなかった首脳同士の激しい応酬は、世界中に衝撃を与えた。米国のトランプ大統領が会見最後、記者団に対して「もう十分見ただろう。素晴らしいテレビ(ショー)だった」とコメントしたように、前代未聞のテレビショーだった。そしてもう1つ、首脳同士の会談の席上、なかなか珍しいと思ったものがある。ウクライナのゼレンスキー大統領がトランプ氏の前で見せた腕組みだ。
脇の下に両手を差し込んだこの腕組み、似たような仕草をどこかで見たような…。思い出したのは『グランメゾン東京』(TBS系)で主演の尾花夏樹を演じていた木村拓哉さんの仕草だ。問題にぶち当たると、木村さん演じる尾花もゼレンスキー氏のように両手を脇の下に差し込む腕組みをしていた。だが違う所が1つある。尾花は親指だけをのぞかせて腕組みをしていたのだ。この仕草は、自分は冷静で物事をコントロールできる、コントロールできるはずだと思っている時に出やすいといわれる。しかし、ゼレンスキー氏の親指は隠れてしまっていた。
トランプ氏とゼレンスキー氏は2人とも、仕草が豊富で心の内を読み取りやすいといえる。会見開始からトランプ氏は、いつものように両手を少し広げて左右の指先を合わせる“尖頭のポーズ”を見せた。ジョー・ナヴァロ氏の著書『FBI捜査官が教える「しぐさ」の実践解読事典407』によると、これは周囲に自信を示す仕草で、指導的立場の人が取ることが多い。自分の意見が正しいと信じ、自分の言うことをどれだけ強く約束できるかを相手に納得させたい時に役に立つ仕草だという。自己肯定感が強い自信家が大統領に返り咲いたのだ。この仕草が相手に与える印象も以前より強くなるだろう。
それに対してゼレンスキー氏は両手の指を組み、その指を頻繁に動かした。両手を組むのは自分を落ち着かせる仕草だといわれる。初めて会うトランプ氏に対し不安や心配があったのだろう。組まれた指は彼の感情の動きをそのまま表していたようだ。トランプ氏がロシアのプーチン大統領に肩入れするような話をした時などは、その指がせわしなく動いただけでなく、力が入り色を失っていった。