30~50代がメインの支持層で山本氏の演説に熱狂(写真/共同通信社)
特定の支持母体を持たない魅力
もう一つの支持層、ロスジェネの声も聞こう。
「僕は山本信者とかじゃないんです」と語ったのは、東大阪市に妻と暮らす50代の会社員の男性だ。2年前の地元の市議選からボランティアでれいわの選挙を手伝うようになったという。
「2022年の参院選がきっかけでした。近くに山本太郎が来るというんで興味本位で行ったら、引き込まれたんです」
演説で山本氏は、「賃金が25年間上がらず、平均の年収が130万円も下がった。これは国の失政だ」と強調していた。
「この数字、本当に僕にドンピシャなんですよ。この生活のつらさを変えたいと言ってくれるのが、支持する理由です」
そのうえで男性は「れいわに行き着くまで支持政党はなかった」とも語り、同じ左派の立憲民主党には「連合の顔色を窺っている感じ」を抱いていたという。
この男性だけではない。取材した支持者たちは一様に、特定の支持母体を持たないことを評価した。
あらためて昨年の衆院選比例区の左派政党の得票数を見ると、立憲は1156万票を得たが、2021年前回選に比べわずか7万票(0.6%)の微増。それに対し、れいわは380万票を獲って前回から158万票(72%)という大幅増を果たし、退潮する共産党(336万票)を上回るまでになった。ようするに、支持母体のある既存政党の票を奪っているのだ。
■後編記事《【山本太郎代表は本物なのか?】街頭デモと対話集会を繰り返す「れいわ新選組」の戦略 “有権者と顔を突き合わせ全身で臨場感を持って伝える”姿勢が求心力の源か》に続く
【プロフィール】
広野真嗣(ひろの・しんじ)/ノンフィクション作家。神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、フリーに。2017年、『消された信仰』(小学館文庫)で小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』(講談社)。
※週刊ポスト2025年3月21日号