30~50代がメインの支持層で山本氏の演説に熱狂(写真/共同通信社)
反原発に山本氏の起点があるのは確かだが、現在の重心は間口の広い経済政策に置かれている。
積極財政だけではない。政権を握った暁に災害対応の公務員を大幅に増やす、就業機会を逃してきた人材を雇用して被災地とロスジェネ世代をともに救済するのだ、といった野望も山本氏は語る。
有権者と顔を突き合わせ、全身で臨場感を持って伝える。そこに求心力の源がありそうだ。
対話では何に心を砕いているのか。山本氏はインタビューでこう述べた。
「勉強不足で答えられない時はごめんなさいって最初に謝ります。持ち帰って問題を知るところから始めていきます、と」
「たかだか山本太郎のことですから」とうそぶきつつも、自負も滲ませた。
「これは、他の政治家はあんまりやりたがらない。だって答えられないことは恥じゃないですか」
考えてみれば対話こそが政治の王道のはずなのに、与野党を問わず、名の通った政治家でもハプニングを遠ざけ、少なからず官僚原稿に頼っているのが実情ではないか。
共産党委員長時代の志位和夫氏と街頭演説を共にした複数の関係者によれば、街宣カー上の志位氏の前には縦書きの台本が据えられ、これに沿って「演説」するのが通例だったという。
主張が近い共産党に比べても、大衆から詰められる異変さえエネルギーに変える山本氏のれいわが浮上するのは、必然だとさえ思えてくる。