“演技経験者”として臨んだ「インティマシー・コーディネーター」の仕事を語る
「表情なのか体なのか、どこがどれだけ映されているかで、演技の動きも変わります。インティマシーコーディネートでは、随時カメラをチェックしながら、さりげなく『今は足元まで映っています』など役者さんに伝えにいく。説明することで絵コンテの役割も果たします。状況を把握できれば脚を広げすぎないように注意するなど、演技の工夫もできる。ぼかしを入れる必要がある部分が見えそうなら、体の向きを変えることもできる。緊張が解けると、役者さんの表情がやっぱり全然違うんです。清瀬さんも、『こうしてフォローしてくれる人がいないと、やりにくい』と話されていました。
この作品は監督も撮影も女性で、事前に絵コンテも準備されていました。そうした安心感も大きかったと思いますが、途中から清瀬さんが『もう大丈夫です』と、シーンごとに話に行く必要がなくなって。現場を信頼してもらえたんだと、うれしかったです」
充実した仕事ぶりを見せる中、小松は私生活で高齢での出産を経験。『月下香』の制作は産後ほどなく始まり、「主人が仕事のない時間帯に子どもを預けて“日帰り”“夜帰り”で」ロケ現場へ通ったと明かす。第3回記事では、高齢で母となる選択をしたこと、日々の暮らしについて、想いを語った。
(第3回に続く)
【プロフィール】
小松みゆき(こまつ・みゆき)/1971年6月5日生まれ、福島県出身。1990年芸能界デビュー。以後女優としてテレビ、映画、Vシネマ等で活躍。2021年に49歳で第一子を出産し話題になったほか、近年では俳優のほかインティマシー・コーディネーターとしても活躍している。
取材・文/渡部美也