八代亜紀さんの追悼アルバムが問題になっている
『舟唄』や『雨の慕情』などの名曲で知られる八代亜紀さん(享年73)に、重大なプライバシー侵害の危機が訪れている。4月下旬に発売される八代さんのベスト盤『忘れないでね』の特典に、八代さんが若い頃に撮影した全裸写真が封入されているというのだ。一体、どういった経緯でプライベート写真が流出し、どういう理由で公開されようとしているのか。問題のアルバムを手がけるレコード会社の社長を直撃した。【前後編の後編】
問題のアルバムは、北九州に拠点を多くレコード会社「ニューセンチュリーレコード』が4月下旬にリリースする予定のベスト盤『忘れないで』だ。同社のホームページを確認すると、アルバムの告知とともに次のような宣伝文句が書かれている。
《お宝として八代亜紀が24~25歳の時に同棲していたT社のNディレクターによってポラロイドカメラで撮影されたフルヌード写真2枚が掲載されています》
同社によれば、写真は40年以上前に撮られたもので、撮影者はかつて八代さんと不倫関係にあると報じられたレコード会社の元ディレクターN氏だという。
「ラブレターもありますよ」
八代さんは1994年、43才のときに元マネジャーの男性と結ばれ、27年間の結婚生活を経て2021年に離婚した。その元夫と出会う前に公私で親しくしていた男性がN氏だった。
「1980年に『雨の慕情』が日本レコード大賞を受賞した後の1982年、八代さんは当時所属していたレコード会社『テイチク』から独立し、彼女のために設立された『センチュリーレコード』に移籍しました。背景にあったのが、テイチクの担当ディレクターだったN氏との不倫と見られ、妻子ある男性との道ならぬ恋が週刊誌やワイドショーを賑わせたのです」(芸能リポーター)
八代さんはN氏との不倫を否定していたが、当時の音楽業界では2人の関係は公然の秘密とされていた。
「N氏は八代さんの自宅に入り浸り、妻子が待つ家に寄り付かなくなっていました。八代さんは彼を“お父さん”、彼の奥さんを“姐さん”と呼び、けんかするとよく『姐さんのところに行きなさい』といじけていたそうです。八代さんは20代そこそこの年齢で、彼に夢中になって周りが見えなくなっているようでした」(八代さんの知人)
今年2月に出版された月刊誌には、2人が同棲していた頃に撮影されたとされる仲むつまじいツーショットが掲載されている。八代さんの自宅マンションと思わしき部屋で、N氏とみられる男性を後ろからハグする彼女は幸せそうな笑顔を浮かべていた。
月刊誌に掲載された八代さんとN氏のツーショット写真を撮影したのは、今回、問題のアルバムを手がける「ニューセンチュリーレコード」のX社長だという。当人が言う。
「あれは引っ越し祝いのときにぼくが頼まれて撮った写真です。
あるとき、八代さんがテレビ番組の景品か何かで、まだ珍しかったポラロイドカメラをもらってきたんです。フィルムを3つほど買ってきて『お父さん、これで撮って』と彼女に頼まれてN氏が何枚か撮ったのが彼女のヌード写真。その中の2枚がアルバムジャケットに載っています。1枚は布団の上で撮ったもので、膝を立てているのでヘアは写っていませんが胸は出ています。もちろん写真は本物で、当時、彼女がN氏宛てに書いたラブレターもありますよ」
そのような私的な写真をなぜX氏が所有しているのか。
「八代さんは1986年に『センチュリーレコード』から『日本コロムビア』に移籍し、彼女を失った会社は、経営が行き詰まって、借金が3億円近くに膨れ上がったんです。このままだとダメになるというので、2000年頃にウチが八代さんやほかの歌手の原盤権や、会社にあった財物一式を買い取りました。そういう経緯がありますから、当時の音源を使ってアルバムを出すことにも写真を公開することにも何の問題もありません」(X氏)
社名に“ニュー”を付け、文字通り、新たな権利者になったことを主張するX氏。40年近く経って、私的な写真を公開する理由を尋ねるとこう説明する。
「去年の3月にも追悼盤を出したのですが、その後、目黒区(東京)にあった八代さんの豪邸が人手に渡ったことに腹が立ったんです。ぼくとしては八代さんの思い出をもっと長く残してほしかった。豪邸売却と同時期に彼女の個人事務所が解散し、別会社が立ち上がったことを知って、いったい何が起こっているのか?と。自分なりに調べて、八代さんの財産を食いつぶそうとしている人がいるんじゃないかと思った次第です。
ぼくは筋が通らないことが嫌いなんです。“暴露”と思われても構いませんし、誰にも文句を言われる筋合いはありません」
予想外の展開に困惑の色を隠せないのは、八代さんが生前、所属していた「ミリオン企画」の大野誠元社長だ。大野氏は自らの出資で一昨年3月に「八代ミュージック&ギャラリー株式会社」を設立。現在は八代さんが手掛けたアート作品や楽曲などの権利を管理している。今回の騒動は、大野氏にとっても寝耳に水だったという。
「弊社には、商品化することや封入特典に写真を使うことに関しての許諾申請は来ていません。通常であれば(著作権や複製権などを管理する)音楽出版社に確認があるはずですが、そもそも今回のような特典が入ることに音楽出版社が許諾を出すのかという疑問が残ります。原盤の権利元がニューセンチュリーレコードさんにあるのかどうかも含め、事実関係を確認中です」(大野氏)