健大高崎戦に敗れて引き上げる明徳義塾ナイン（写真／産経新聞社）
相手スクイズを読み切った「ジェスチャーが大きかったから」
馬淵監督が悔やんだのは初回の攻撃だ。四球と野選で無死一、二塁のチャンスをいきなりもらうも、送りバント失敗によるゲッツーでふいにしてしまう。
「痛かったですね。向こうは初戦ということで固くなっていたと思うんで、バントで送れていたらビッグチャンスになっていた。仕方ない、これも流れやから」
先制点を奪えなかった明徳義塾に対し、乱調気味だった下重はその後、勢いに乗っていく。試合は1対1という拮抗した展開が続いた。タイブレークに突入した10回表、健大高崎の先頭打者は初球の変化球をしっかり投手前に転がし、1死二、三塁の好機を作る。このプレーを馬淵監督はこう述懐した。
「一、二塁のケースはストレートを投げて、相手にバントさせたほうが失敗の可能性が高いんですよ。それやのに、変化球でしょ。空振りを狙ったのかわからんけど、変化球を投げるなら、ボール球にせんといかんのですよ。普段から伝えて練習していることがまったくできていなかった」
健大高崎はセンター前ヒットを放って1点を勝ち越し、明徳にとっては1死二、三塁のピンチが続いた。カウント1-1の3球目、明徳バッテリーはウエストし、飛び出した三塁走者をアウトにする。これは健大高崎のスクイズを読み切った馬淵監督の指示だった。
「初回からずっと相手ベンチの監督を見ていましたが、あまり動かない監督ですよね。そう思っていたら、あの場面では監督が部長と何やら話し合っていたし、そのあとの（サインの）ジェスチャーが大きかったから、これは絶対に何かあるな、と（笑）。二、三塁のスクイズって、一番難しいんですよ。案の定でしたね。あのまま1点で終えられていたらうちのペースやったんやけど、そのあとのパスボール（※公式記録はワイルドピッチ）による1失点がほんまに痛かったです」
