明徳義塾先発の池崎安侍朗(写真/時事通信フォト)
課題のブロッキングは「まだまだ練習が足らないんでしょうね」
2年生捕手の里山楓馬は1年生だった昨夏からレギュラーを務めてきたほどの期待の選手だ。
「練習試合、公式戦を含め、おそらく20回ぐらいパスボールをしているんですよ。ブロッキングを課題にして、ずっと練習はしてきていましたが、まだまだ練習が足らないんでしょうね。勝ち進むためには、今日のようにミスの多い試合をしていたら絶対にダメです」
10回裏の攻撃では先頭打者の時に二塁走者が飛び出し、アウトに。結局、1点も奪えず試合は1対3で決した。
「打力がないんだったら、バントを上手く使って戦っていくしかないのに、今日はそれができんかった。(エースの)池崎(安侍朗)は縦のカーブの調子が悪いなりに、(10回3失点と)よく投げてくれたんですが、池崎に続く2番手を育てないかん。投打の両方を強化しないとダメでしょう。夏に向けて課題は多いですね。全国で勝つにはあと1枚か2枚は打てる選手がおらんといかん」
監督として歴代4位となる55勝を挙げている馬淵監督は、今回が39度目の甲子園だった。いつも馬淵監督は「帰って練習します」の一言で取材を終わらせ、その日のうちに宿舎を引き払って高知に帰ることもあるが、この日は第3試合のナイターゲームとあって、さすがに宿泊するという。
「わしもさすがにもうすぐ70歳やで。今日の寒さは堪えたよ」
春の陽気にはほど遠いひと桁台の気温に加え、タイブレーク時には強風も土埃も小雨も舞った甲子園にそんな言葉を残し、老将は去った。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)