元プロバスケ選手の真美子夫人と交わした自然なグータッチに、アスリート夫妻らしくて素敵という声が殺到した(写真/ロサンゼルス・ドジャース公式Xより)
最後は「楽しいか、楽しくないか」で決める
2018年9月2日、大谷選手はアストロズとの一戦で88日ぶりに故障から復帰し、投手で先発しました。しかし、打球を右手に当ててしまい、3回途中で降板。その3日後、エンゼルス球団は、大谷選手が医師からトミー・ジョン手術を受けるよう勧められていることを発表します。
このとき、大谷選手は手術を受けるべきかどうか、きわめて重要な決断を迫られることになりました。彼は当時の心境をこう語っています。
「(9月2日に)復帰することになったとき、本当にこれでいいのか、このまま投げていくことが楽しいのかどうかを最終的に確認したかった。バッターを抑えられるかどうかもそうでしたけど、この状態で投げていて、自分の中に楽しいイメージが湧くかどうか……それは打球が右手にあたったことは関係ありません。試合前から違和感はありましたし、それは普通なら試合で投げられる程度のものでした。その原因が靱帯にあるなら、そういうピッチングが楽しいのか。(中略)あの試合投げていてそういうイメージしか湧かなくなって、これは楽しくないなと思ったんです」(『Number』963号・2018年10月25日〈文藝春秋〉)
最終的に、大谷選手はトミー・ジョン手術を受ける決断をするのですが、彼がそのときの判断の基準にしたのは、「楽しいか、楽しくないか」でした。
大谷選手は、基本的に「楽しい」よりも「正しい」を優先するタイプですが、より正確には、まず「正しい」ものを選び、その中から「楽しい」ものを選ぶのが大谷流なのです。
では、どうやって「正しい」選択をするのか。
アメリカの心理学者リリアン・ディンクレッジ博士は、「好ましい意思決定の手順」を次のように解説しています。
【1】何を決定するかをはっきりさせる
【2】そのことに関する必要な情報を集める
【3】選択肢を挙げる
【4】選択基準(自分の価値観)をいくつか挙げてみて、その重要度を評価する
【5】【4】に基づいて選択肢の中から一つだけ選んで行動する
【6】得られた結果について検討を加える
(第2回に続く)
『大谷翔平に学ぶポジティブ思考で運命を拓く力』(双葉社)