3月1日に亡くなったフリーアナウンサーのみのもんたさん
その苦しみは想像を絶するという。
「食べ物を喉に詰まらせ窒息すると、1分を過ぎたあたりから体内に蓄えていた酸素がなくなり、呼吸が難しくなりもがき苦しみます。その後、手足や顔が徐々に紫色に。3分を超えると意識が遠のいて体が痙攣し、心臓の働きが鈍くなっていきます。窒息してから、およそ7分ほどで亡くなります」(みえ呼吸嚥下リハビリクリニック院長の井上登太さん)
3月1日に他界したみのもんたさん(本名・御法川法男、享年80)が病床に伏すきっかけとなったのは、焼き肉の誤飲だった。
「1月中旬に都内の焼き肉店で夕食をとっていたみのさんは、ほとんど噛まずにのみ込んだ牛タンの大きな肉片が喉に詰まり、窒息状態になりました。直後に救急車で搬送されて、自宅に帰ることなく旅立ちました」(芸能関係者)
焼き肉が窒息の原因になることは珍しくはなく、2023年5月には静岡県御殿場市内の焼き肉店で50代男性が肉を喉に詰まらせて心肺停止となった。みのさんのように高齢になるほど誤飲の危険度は高くなる。
「年を取ると嚥下機能が低下して誤飲などで窒息のリスクが増します。ただし危ないのはよく指摘される正月の餅だけではない。喉に詰まらせやすい食品はたくさんあります」(井上さん・以下同)
食品で窒息するのは3つのパターンがある。
「1つ目は、里いものように丸い食べ物やこんにゃくのようにツルっとした食べ物が、噛まない状態で喉に入ってしまい詰まるパターンです。さらに、しらたきやそうめん、油揚げのように水分を含んだ食べ物を口に入れた際にむせて、大きく息を吸い込んだ瞬間にそれらの食品が喉に詰まるパターンがあります。3つ目は、パンやカステラのように水分がなくパサパサした食品です。口内で唾液と混ざって粘度の高い塊と化して、詰まりやすくなるのです」
2010年発表の内閣府の資料によると、窒息事故の発生件数が多い食品トップ3は「餅」「ご飯」「飴」だが、事故が起きた際に重症となる割合が高いトップ3は、「こんにゃく入りゼリー」「しらたき・糸こんにゃく」「たこ」の順となる(ただし、現在までに「こんにゃく入りゼリー」は国民生活センターの指導により、警告マークを付け、製品の改良も行っている)。実際に食品が喉に詰まった場合はどうすべきか。