春の園遊会では別の道を歩かれる雅子さまと紀子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA)
“現存する世界最古の王朝”とも称される日本の皇室。その歴史はあまりに長く、積み重ねられてきた伝統を覆すのは簡単ではないが、来る4月、春を彩る恒例行事の慣習が大きく変わることがわかった。“令和流”へ──大改革の内幕を徹底レポート。
赤坂御苑に集まった招待客たちが見上げる小高い丘に、両陛下をはじめ皇族方が一斉に並ばれる。そして、一列になって招待客らの元に歩を進め、彼らの話に熱心に耳を傾ける──そんな園遊会のスタイルが変わろうとしている。
3月24日、ブラジルのルラ大統領が6年ぶりの国賓として来日する。
「25日には大統領を招き、皇居での歓迎行事や宮中晩餐会が行われます。令和に入ってから国賓が招かれるのは、2019年にトランプ大統領夫妻が来日して以来2度目。今回の宮中晩餐会には愛子さまも初めて参加される予定で、雅子さまも愛子さまの“晩餐会デビュー”を心待ちにしながら熱心に準備をされたそうです」(皇室記者)
令和に入ってすぐに、コロナ禍に見舞われた天皇皇后両陛下。久しぶりの国賓への接遇は、新しい令和皇室の姿を国内外にアピールする格好の場になると同時に、これまでの宮中晩餐会の慣習を大きく変える新しい試みでも注目される。
「ドレスコードに『平服』が指定されたのです。平服とは、男性ではダークスーツのこと。これまで通例だった燕尾服やタキシードからは、ぐっとカジュアルになりますね。女性は、ランチにあたる午餐会のときのようなドレスのイメージです。お召し物の変化によって場の雰囲気もよりリラックスしたものになり、会話もいっそう弾むことになるでしょう」(前出・皇室記者)
宮中晩餐会のドレスコードに平服が指定されるのは、長い皇室の歴史において初めてのことだという。
「今回の変更にはかなり驚きました。日本とブラジル両国の調整で決まったようですが、背景には、雅子さまのご負担軽減という発想があるのは間違いないでしょう。陛下をはじめ周囲の方々は、長く病気と向き合われている雅子さまには、体調に配慮しながら、安定的に公務に臨まれてほしいという思いがあるはず。もともと両陛下は“あまり堅苦しいのはよくない”という考えもお持ちです」(宮内庁関係者)
そうした“令和皇室のカラー”が生かされた変化の動きは、70年以上続く皇室の恒例行事でも例外ではない。今年の4月22日に開催される「春の園遊会」では、実に60年ぶりとなる大改革が実施されるのだ。
「これまでの園遊会では、皇族方が天皇陛下を先頭として一列となり、順番に招待客と会話していくのが常でした。しかし次の園遊会では、両陛下と秋篠宮ご夫妻、そして愛子さまと佳子さまが3組に分かれ、それぞれ“別の道”を歩きながら歓談されます。残りの皇族方がどの順路を歩むかは今後検討するそうです。
これほど大きな変更は、上皇さまが80才をお迎えになりルートを少し短縮化したことを除けば、園遊会が赤坂御苑で行われるようになった昭和38年以降、初めてのことです」(前出・宮内庁関係者)
そんな異変の背景には、ここ数年の園遊会で相次いだ“皇族方の渋滞”の存在があるとされる。
「先頭を歩かれる両陛下が招待客と話し込まれることで、後ろに続く皇族方がつかえてしまうのです。特に雅子さまのご歓談に臨む姿勢は“熱心すぎる“ともいえるほど。雅子さまは、国民と直接対話できる園遊会を貴重な機会と考えておられるのでしょう。積極的に質問を重ねられ、一人ひとりと丁寧に言葉を交わされます。
ご歓談の際、陛下おひとりが先に進んでしまい、雅子さまのところへ戻られる場面も見られるほどで、雅子さまは毎回“時間が足りない”といったご様子でした」(前出・皇室記者)