1月のOB会総会で厳しい現状を語った桑田OB会長(PL学園のグラウンド/産経新聞社提供)
今春のセンバツには、高校野球に一強時代を築いてきた大阪桐蔭や、大阪府内のライバルである履正社が出場していない。昨秋の近畿大会で両校を上回るベスト8に進出した大阪学院大高も近畿地区6校の選に漏れた。全国屈指の激戦区である大阪府の学校がセンバツに出場しないのは、実に98年ぶりという異例の事態だが、大阪府の「消えた名門校」として思い出されるのは、2016年に活動を休止したまま、事実上の廃部となっているPL学園も同じだろう。
桑田真澄OB会長の嘆息「現状は生徒を増やす方法がない」
2025年が明けて間もない1月12日、大阪市内のホテルで開催されたPL学園硬式野球部OB会の親睦会終了後、学園の母体であるパーフェクトリバティー教団との交渉役を担ってきた桑田真澄OB会長は、母校の現状についてこう明かした。
「高校、中学校と、1学年10人前後の生徒数しかいない。男女比はだいたい1対1ぐらいですから、1学年に男子生徒が5~6人しかいないようです。厳しい状況が続いています」
野球部が存続していた時代は、信者以外の生徒にも門戸を開放していた(ただし、入学に際して両親と共に入信する必要はあった)ものの、現在のPL学園は信者の2世や3世しか入学できず、より宗教色の濃い学校となっている。
「生徒数を増やしたいんですが、教祖さまから拝受する御守り(おみたま)を持っていないと、受験することができないんです」(桑田会長)
しかも、現在のPL教団は2020年に御木貴日止3代教祖が死去して以降、おみたまを下付する教祖不在の状況が続く。
「ですから、現状は生徒を増やす方法がない。これでは減少する一方ですよね」(桑田会長)
2024年の親睦会で桑田会長は「すべては4代教祖が誕生してから」と話し、今年は教祖不在の状況に嘆息した。PL学園のみならず教団の現在にまで言及することが多くなった桑田会長には、もはや野球部復活に対して諦めに近い心境も芽生えているのかもしれない。