受験者の減少は食い止められないのか(時事通信フォト)
1学年の生徒数が一桁になる可能性も
10年以上にわたってPL学園およびその母体であるPL教団の取材を続けてきた筆者は、毎春、PL学園高校に設置された2コース(国公立コース、理文選修コース)の外部受験者数を確認してきた。2021年の段階から定員を大きく割れる競争倍率だったが、2023年にはとうとう国公立コースの受験者がゼロに。そして、今春の受験者は2コースそれぞれ1人しか受験者がいなくなってしまった。調べてきた限り、過去最少の受験者数だ。
受験者のうちひとりは併願での受験である。熱心な信者の2世であれば宗教学校としての色が濃くなっている同校への受験は専願で望むと考えるのが自然であり、併願の中学生は本命校の滑り止めでPL学園を受験している可能性もあるだろう。本命校に合格し、そちらに進学したとなれば、2026年度にPL学園に進学する生徒はわずかひとりということになる。
もちろん、PL学園中学からの内部進学者はいる。それでも学園が公表している事業報告書(令和5年度)を見ると、2025年に高校1年生となる中学校の生徒数は8人となっている。いよいよ新年度には1学年の生徒数が一桁台にまで落ち込む可能性がある。
2026年度から大阪の私立高校の授業料が完全無償化となり、私立を志望する中学生が増えているといわれるが、PLにとっては関係ないようだ。結局は教祖不在という宗教団体としての異様な状況が、こうした学園の惨状を招いている。野球部復活への光明などあるはずがない。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター、『永遠のPL学園』著者)