ゼンショーホールディングスが運営する「すき家」が問題の画像についてコメントした(時事通信フォト)
不祥事が発覚したとき、いつ、どのような対応をするかによって、その企業に対する世間の印象が大きく変わる。店舗で提供した「みそ汁」に「ねずみ」が混入していた件について「すき家」が公表したプレスリリースが与える影響について、臨床心理士の岡村美奈さんが分析する。
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運ばれてきた味噌汁のお椀にネズミの死骸が浮いていたら!?、想像しただけでゾッとするような事案が、大手牛丼チェーン「すき家」の店舗で起きた。だがそれ以上に問題視されたのは、事態発生から公表までに2か月がかかったことだった。このタイムラグによって、本社がHPで謝罪した文面はずいぶん印象が悪くなってしまった。
Googleマップ上の店のクチコミ投稿に投稿された画像には、確かに黒いネズミの死骸がまるっと浮かんでいる。たまかけ朝食を注文したという客が、投稿したものだが、それはあまりに大きく、味噌汁の具材とともにポカリと浮かんでいる。見てわからないわけがない、気がつかないはずがないと誰もが思うようなサイズだ。投稿者は「考えられません。一応保健所と本社には連絡しました、これ以降食欲湧きません」とコメントしたが、投稿日時の表示が「2028年1月21日」となっていたこともあり、SNS上では”フェイク画像ではないのか”という疑問が相次いだ。だがすき家は3月22日、公式HPで混入を認めて謝罪した。ネズミ混入は事実だったのだ。
すき家のHP、「すき家に関する一部報道について」2025年3月22日には冒頭、《鳥取南吉方店で提供した「みそ汁」に異物(ネズミ)が混入していたことに関する報道がありました》とある。SNS上で話題になっていた投稿に対し、すき家に問い合わせたのはNEWSポストセブンだ。この問い合わせがなければ、異物混入を公表することはなかったのかもしれないと思わせるのに十分な書き出しだ。
さらに《混入原因について調査を行った結果、「みそ汁」の具材をお椀に入れて複数個準備をする段階において、そのうちの1つのお椀の中に異物が混入していたと考えられています》とある。事態の説明も大事だが、客や関係者へのお詫びはまだ出てこない。しかも誰に”考えられている”というのか。当事者企業としては「考えます」か「考えられます」が正しい表現ではないだろうか。このため少々他人事のような印象で、とにかく釈明しなければという意識が前面に出てしまいっている。