波紋を呼んでいるGoogleマップ上の投稿(写真は編集部で加工しています)
当該店舗は発生後すぐに一時閉店、保健所にも相談し、対策を講じ、従業員に対する厳格な教育を行ったとあるが。もし発生直後に謝罪とこの文面が公表されれば、これほどの騒動にはならなかっただろう。その後に「本件は当該店舗の建物構造と周辺環境が重なった事例と当社では捉えています」という文面が続く。この内容が調査結果という形で報告されていれば、すき家はきちんと危機管理を行う企業というイメージがついただろうが、2か月経過してからの説明では、当該店舗だけの問題で他店舗や本社は関係ないと思ったのだろうという印象が拭えない。
その印象は当たっていたようだ。3月27日のNEWSポストセブン『【”ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「”混入”ニュースで初めて知った』によると、すき家の広報部からの回答で、公表が遅れたのは、「個店及び1人のお客様に対しての事象であり、対外的に発表することで多くのお客様に対して不安を与えてしまうと考えたため」だという。客や消費者としては、公表されなかったことで憶測が憶測を呼び、逆にすき家への不安を煽り懸念を抱くことになった。
さてもう1つ、投稿画像にあるネズミのサイズからすると、なぜ気づかれずにそのお椀が提供されたのかという疑問が残る。すき家のHPでは、異物混入を客から指摘され、その場で従業員も目視し、異物混入を確認したとある。原因については「当該従業員が提供前に商品状態の目視確認を怠ったため、異物に気付かずに提供が行われました」。
配膳する時に、自分が運ぶ物を全く見ないという人はいない。目視確認を怠ったというのは”見たけれど、見ていなかった”、テーブルの上に注文された品を置いたが、置いただけという状況だ。その時、店舗内がどのような状態だったのかわからない。その日は従業員が走り回るほど多忙だったのなら、焦りや混乱などによる「ヒューマンエラー」によるものだ。それに対する対策は従業員に対する厳格な教育だけでなく、従業員の負担を軽減することが必要だ。
だが店内がいつもと変わらない状況だったのなら、思い込みや慣れなどによる「ヒューマンエラー」だと考えられる。人は一度に多くの物へ注意を向けることができない。いつもと同じ、慣れているから大丈夫と思い込めば、そこへの注意力は下がり、流れ作業のような状態になる。無意識的に作業を進めてしまい、確認をおろそかにしてしまうのだ。慣れてくれば油断も出てくる。わざわざ注意を向けて、確認しなくても大丈夫と高をくくり、見落とししまうのだ。
すき家は商品提供時の目視確認の徹底を指示したというが、建物への対策とともに、従業員への継続的な教育が大切だ。
様々に対策を行ったというすき家だが、公表の遅れによって公開した謝罪文も企業イメージ回復にはつながらなかったといえる。失墜した企業イメージを取り戻すのはいつになるだろう。
「異物混入」がみられた「すき家」の味噌汁(写真は編集部で加工しています)
3月22日18時20分ごろ、異物混入に対する報告が「すき家」公式サイトで行われた
ゼンショーホールディングスが運営する国内の飲食店では「食の安全」について独自の安全基準を設けている(同社HPより)
店舗での「食の安全」に関する説明(ゼンショーホールディングスHPより)
当初は「AI生成か」とも疑われた