「引いて負ける」という弱点をどう評価するか
やく氏はこう続ける。
「(大の里は)絶好調でもないのにフツーに優勝しちゃうんだから、放っておいても夏場所か名古屋場所のどちらかで(昇進を)決めるんじゃないかなと思います。つい先走って豊昇龍を横綱にしてしまいましたが、とても任せられる雰囲気ではないので、ここは大の里に上がっていただいて、しばらくは時代をつくるということになるんじゃないでしょうかね」
現役最多タイで、新入幕から8場所で3度の優勝という大の里。優勝確率(37.5%)は大鵬、朝青龍、白鵬、千代の富士に続く歴代5位で、北の湖や貴乃花の優勝ペースを現時点では上回っている。「得意の右を差せないとすぐに引くという負けパターン」を指摘する声もあるが、やく氏はこう話す。
「歩幅が広く、それでいて前進力が強いため、一気呵成に前に出て逆転を食らったりしているが、本人もそこに意識を強く持っているのでしょう。努めて土俵際で腰を下ろす動作をしている。まるで稽古土俵みたいにして見せるシーンがあるので気をつけているんだと思います。ただ本場所ではガツンといった時にそこまで気が回らないのでたまにやられますが、土俵際で腰を下ろす意識意識があれば大きな弱点にはならないと思う。
強いて言えば、引いて負ける一番が目立ちます。自分の勢いをそがれた時に組み止めて四つになると盤石という相撲ではないので、どうしてもそれが出てしまうのかなと思う。負ける時は引くか逆転されるかのどっちかですからね。これがなくなると洒落にならないほど強くなってしまう。普段の稽古では出ないように注意しているんでしょうが、やはり本場所で少し慌てると出る場合もあると思う。ただ、気にするほどの欠点じゃないと思う」