昇進場所で途中休場した豊昇龍
初場所8日目に「週刊ポスト」の取材に応じた時も、八角理事長は豊昇龍がその時点で2敗を喫していたにもかかわらず、「いい相撲を取っている」「強いなという感じがする」とプラス面を強調したが、その答え方と大の里を全肯定する口ぶりは重なる。
懸念されるのは、昇進ラインが甘くなることだ。
横綱昇進には「大関で2場所連続優勝もしくはそれに準ずる成績」との内規がある。九州場所で準優勝、初場所で優勝の豊昇龍は“準ずる成績”にも見えるが、昇進直前3場所では計33勝(8勝、13勝、12勝)にとどまる。平成以降の横綱昇進では貴乃花の3場所41勝を筆頭に、朝青龍や白鵬(現・宮城野親方)は38勝、“甘い”と批判された稀勢の里でも36勝だった。
「33勝で“上げ底昇進”させた豊昇龍で失敗したのだから、大の里には3場所37~38勝といったこれまで通りの水準が求められるはず。初場所10勝、春場所12勝だから、来場所は全勝優勝で37勝。しかし、協会に近いメディアから“13勝が合格ライン”といった報道もある。“準ずる”がどんどん拡大解釈されている」(同前)
苦手の平幕をどうするか
大の里の場合、3場所連続で負けていた阿炎に代表される苦手力士がいる。特に苦手にしている平幕力士への取りこぼしが目立つ。2024年夏場所と秋場所の優勝時も高安、平戸海、若隆景といった平幕に敗れている。
「今年の初場所でも翔猿、王鵬、金峰山という平幕に敗れた。それだけに、苦手力士をなるべく序盤に対戦させないといった協会側の取組編成での援護射撃はあり得るでしょう。豊昇龍は故障を抱え、琴櫻も本調子とはほど遠い。来場所が昇進させるチャンスと見ているのではないか」(前出・若手親方)