「貶められた名誉の回復を願います」
過去に若生氏を取材したメディアコンサルタントの境治氏が言う。
「若生さんは営業畑で活躍し、コロナ禍では配信ビジネスなどの成果を持ってTVerに出向。2代目社長として配信事業を急成長させた人物で す」
前出の高堀氏は、若生氏の抜擢に “本気度”を感じたという。
「TVerの初代社長を務めていたのは昨年、TBSの社長に就任した龍宝正峰氏です。現在、TBSはU-NEXTと資本関係を結び、うまく連携して配信事業が伸びている。配信事業は今後の収益の柱。若生さんは有料の動画配信サービスの発展と、激減した広告収入の回復に向けて再建を託されたと言えそうです」
一方、第三者委員会の報告書では類似の事案や役職員によるハラスメント事案4件が確認された。今後、さらなる事実解明や対応が求められるフジテレビに対して、Aさんは何を願うのか。
「本事案で受けた傷もさることながら、週刊誌で取り沙汰されて以降は、SNS上での誹謗中傷やワイドショーなどでの様々な報道で、さらに精神的に苦しい状況に追い詰められました。フジテレビは被害者救済を第一というならば、貶められた名誉の回復を願います。
また、私のように理不尽な思いをしている方が、メディアや芸能界だけではなく様々な業界や学校などにたくさんいらっしゃいます。性別関係なく、どんな立場の人も平等に、そして正しく生きられる社会になるよう、私自身もそんな未来を築く一員になりたいと思います」
新経営陣は視聴者にとっても従業員にとっても「楽しいテレビ」を目指さなければならない。
※週刊ポスト2025年4月18・25日号