参院選では苦戦が予想される自民党(石破茂・首相/時事通信フォト)
政権発足から半年、少数与党の舵取りは難航し、支持率も低迷する石破茂・首相は焦りの色を隠せないでいる。このままいけば、夏の参院選で自民大敗は必至。そうしたなか、永田町では石破首相が「衆参W(ダブル)選挙」という大博打に打って出るとの情報が駆け巡っている。選挙情勢分析に定評がある政治ジャーナリスト・野上忠興氏は「ダブル選になれば自公政権は衆参ともに過半数を失い、石破退陣は決定的になる」と指摘する。
そこで本誌・週刊ポストは野上氏の協力で参院選の詳細なシミュレーションを行った。野上氏の予測結果は、「自民34議席」「公明11議席」の大惨敗となった。とくに勝敗の鍵を握る32の1人区で自民は最大24敗を喫するドミノ現象が予想される。比例代表の議席も過去最低の13議席と、非改選を合わせて自公は121議席前後(自民系無所属含む)まで減らし、参院過半数割れとなる可能性が高い。第2回では、注目選挙区の動向を予測する。【全3回の第2回。第1回から読む】
参院選「自公大惨敗」でキャスティングボートを握るのは?
参院選の注目選挙区の情勢を北から見ていこう。
■北海道(改選定数3)
自民は現職の高橋はるみ氏、岩本剛人氏の2人が出馬するが、今回は1議席にとどまる見通し。立憲現職の勝部賢志氏と国民新人が議席獲得濃厚だ。選挙支援する連合は立憲、国民から1人ずつ候補を立てるように求めているが、国民が元自民党帯広市議の擁立を土壇場で取りやめて候補者選びが難航。立・国の協議が決裂すれば混戦に。
■福島(改選定数1)
自民現職の森雅子・元法相と立憲新人の石原洋三郎・元代議士が接戦。森氏は安倍派裏金問題で計282万円の不記載が発覚して政倫審で釈明したが、石破首相の商品券とともに裏金問題への批判は強く苦戦に。
■東京(改選定数6+1)
自民党は現職の武見敬三・元厚労相に加え、石原伸晃・元幹事長も出馬に意欲を見せるが、2人出馬なら“共倒れ危機”だ。立憲も現職の塩村文夏氏と新人の2人擁立する方針で候補者未定の政党が多いが、国民(未定)、れいわ(未定)、共産現職の吉良佳子氏、公明新人の川村雄大氏、立憲の塩村氏までは当選圏内か。残り1議席を自民の2人、立憲新人(未定)、維新(未定)が争う展開。7位は辞職した蓮舫氏の補欠選挙として当選(任期3年)となる。
■富山(改選定数1)
保守地盤が強いものの、国民民主が元地元テレビアナウンサーの庭田幸恵氏を擁立。立憲との候補一本化ならチャンス。
■滋賀県(改選定数1)
維新現職の嘉田由紀子氏が比例転出。自民、維新、立憲、国民がそれぞれ新人を擁立して四つ巴だったが、維新と立憲が予備選を行なって候補一本化することで合意。有利になるか。
■大阪(改選定数4)
前々回2議席を得た維新は4月に予備選を行なって男女1枠ずつ2人の候補を決める。現職の梅村みずほ氏も予備選参加。自民は現職の太田房江氏の公認が決まらず、候補者選びが難航中だ。立憲、国民ともに候補未定で、維新は2議席、公明党も議席獲得濃厚。自民は残り1議席に滑り込めるか瀬戸際に。