坂本勇人(左)を阿部慎之助監督は今後どう起用していくのか
順調な船出に見える阿部慎之助監督(46)率いる巨人だが、好調な打線で唯一“沈黙”するのが長くチームを引っ張ってきた坂本勇人(36)だ。指揮官は現役時代のチームメイトでもある坂本をどう処遇するのか──。
新外国人・キャベッジ(27)の爆発、離脱した丸佳浩(35)の代役・若林楽人(26)の活躍などで5年ぶりの開幕3連勝を飾った阿部巨人。
そのなかで輝きを失っているのが坂本だ。開幕戦はスタメンで唯一ノーヒットに終わり、サヨナラ勝ちの絶好機にも凡退した。2戦目は出場せず、スタメン復帰した3戦目もノーヒットだった。
「さらに4月2日には坂本が東京国税局から2億4000万円の申告漏れを指摘され、約1億円を追徴課税されたことが報じられた。好調なチームの士気に水を差す“ミソ”までつけてしまいました」(巨人担当記者)
阿部監督は「1本出れば変わる」と今後も一軍起用の方針を示したが、打撃の衰えは明らかだ。
昨季の打率は自己ワーストの.238。若手内野手の中山礼都(22)が台頭するなか、年俸5億円の坂本の存在はチームにとって重荷に見える。辛口で知られる野球評論家の江本孟紀氏は「坂本の打撃は年々悪くなっている」と指摘する。
「スタンスが広いうえ、体重を移動させながら打ちにいくので右足に軸が残らない。外のボールを追いかける時に右膝が(地面に)ついてしまうので、タメができずに右膝を押し込めない。何年も前から明らかな欠点なのに、スタンスを狭くするといった指摘や修正を指示できるコーチがいない問題も大きい」
ナゴヤドームでの中日との開幕2カード目は地元出身の中山がスタメンとなり、坂本は2戦目で代打出場も凡退。開幕からのノーヒットが続いた。
「今のまま代打で結果を出そうとするのは余計に無理」とするのは、逆転満塁本塁打を3本、うち2本が代打という記録を持つ広野功氏だ。V9後期の巨人を代打として支えた広野氏はこう言う。
「西鉄で4番を打っていた僕を巨人に引っ張った川上哲治さんは、『代打でしか使わないので、代打の神髄を身につけろ』と僕に言った。そこで二軍で必死に努力して代打としての技術や心構えを学び、結果につながった。プロは“打てないから代打”で結果が出るほど甘い世界ではありません」
プロ通算2400本以上のヒットを積み重ねてきた坂本だが、一軍に置いたままでは年齢による衰えをカバーするのは難しいと広野氏は言う。
「現代の打撃理論では、体重移動を小さくして右の股関節から左の股関節へ重心を移しながら、回転運動を重視して鋭く打つのが主流。ノーステップの大谷翔平のスイングもそう。しかし、坂本は右足から左足に大きく体重を移しながら打つスタイルのまま。若い頃はまだしも筋肉が衰えるなか、球速が上がり変化球が多様化した現代のピッチャーは打てない。二軍でスイングを直し、そこで結果を出して初めてもう一度、一軍でという話になるのが筋です」