大谷翔平はメジャー4年目が飛躍の年に 「MLBの打球速度トップ5」(2018~2021年)
DeNAの筒香嘉智(33)や広島の秋山翔吾(37)はメジャーに挑戦したが、いずれも苦戦した。当時の打球速度のランキングを見ると、筒香が170位、秋山が332位と伸び悩んでいた。
大谷もメジャー移籍当初から適応できていたわけではない。広尾氏によれば、1年目の2018年は54位で、2年目は27位に上がったものの、3年目は50位に下がった。広尾氏が続ける。
「その後のオフシーズンに、科学的データに基づくトレーニング施設『ドライブライン』で大谷は自身のバットスイングについて研究した。すると、翌2021年に打球速度のランキングで一気に4位に浮上し、46本塁打を放った。初めてリーグMVPを獲った飛躍の年になりました」
大谷はその後の3シーズンも打球速度でMLBトップ5に入る数字を残し続けた。同様の実績をあげたのはヤンキースのアーロン・ジャッジ(32)やジャンカルロ・スタントン(35)らリーグ屈指の強打者。そして、その間の大谷の超人的な活躍は周知の通りだ。
「しかし、今季の大谷は今のところ打球速度でリーグ20位以下の水準にくすぶっています。実は、メジャー移籍1年目(2022年)の152位から今季はベスト10入りのレベルになったカブスの鈴木誠也(30)のほうがいい数字を残しているような状況です」
長尺バットが原因?
打球速度が落ちた原因は何か。広尾氏は2つの可能性を指摘する。
「大谷は打球速度が速いから、低い角度の打球でもホームランが打てる選手です。今年はそういった弾丸のようなホームランがまだない。一方で、ジャストミートを示す数値ではリーグ3位です。打球速度を上げて飛距離を出すよりも、確実に芯に当てることを意識している可能性があります」