過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
ドジャース移籍2年目を迎えた大谷翔平(30)。3年連続本塁打王の達成を願うファンの期待に応えるようにホームランを放ち、今季も上々の滑り出しに見える。しかし、バッティングのデータをつぶさに分析していくと、明らかな“変調”が見つかった。大谷が抱える不安要素とは──。
スタットキャストのデータから浮かび上がる不安要素
長打が数試合出ないだけで不調説が囁かれる大谷だが、現地14日のロッキーズ戦では6試合ぶりの本塁打を放った。5打数3安打1打点でチームの勝利にも貢献。一振りで周囲の心配を吹き飛ばす様子は、これまで何度も見てきた光景だ。
開幕18試合で5本のホームランは過去の成績と比較しても上々で、今季も量産が期待できそうに見える。
しかし、MLBが公表している解析ツール「スタットキャスト」でデータ(4月15日現在)を見ていくと、一つの不安要素が浮かび上がった。
プロ野球を客観データで分析した『データ・ボール』などの著書があるスポーツジャーナリスト・広尾晃氏が解説する。
「ホームランは出ていますが、本調子とは言えません。注目すべきは打球速度です。今季の最速が時速182.0キロ。昨季のベストだった時速191.8キロから約10キロ落ちていることがわかりました」
なぜ打球速度の減速が不安要素と言えるのか。
「データ解析が進んでいるMLBでは、打球速度を上げていくと、ホームランや安打になる確率が格段に上がることがわかっています。球に角度をつけて打ち上げるほうがヒットの確率が上がるという考え方がMLBでは定着して『フライボール革命』と呼ばれていますが、それと密接に関係するのが打球速度です。これが速いほど、打ち上げた時にヒットや長打になりやすい打球角度の範囲が広くなる。打球が遅いと、メジャーでは通用しません」