夜逃げして閉業した日本食レストランのページ。近年は一般客への営業はしていなかったようで、クチコミも1件しかない(トリップアドバイザーより)
行ったことはあるか?
「普通の人はあまり行かないと思います。私も行ったことはありません」
日本人なら日本食が恋しくなるところだが、T氏によると、カンボジア在住の日本人が行くような店ではなかったという。どんな店だったのか?
「夜逃げする前は、使い捨ての弁当箱を少なくとも毎日50個以上仕入れていたようです。一般営業ではなく、詐欺グループのスタッフ向けの弁当販売で経営が成り立っていたんでしょう」とT氏。山口容疑者も詐欺グループに弁当を出していたと話していたが、ネット上でも「毎日150以上の弁当が作られ、この拠点のほかにも届けられていた」という現地関係者の話が取り上げられていた。現地ではそういう店とみられていたのだろう。
地元メディアの報道によると、カンボジアから逃げた山口容疑者はタイのバンコクで家賃80万円の家に住み、電子マネー1億3000万円以上を所有していたとされる。バンコクで豪遊していたといわれる山口容疑者だが、プノンペンでの生活について何か知っているか?
「彼はプノンペンの郊外に家も持っています。投資に使うという物件ではなく、そこに日本からきた特殊詐欺グループのスタッフを住まわせていたようです」
警察車両の中では関東連合とのかかわりを「怖いじゃないですか」と否定した山口容疑者が、空港に入ってから再び関東連合の他のメンバーについて聞かれると、「調べろよ。いねーだろうが」と荒い口調で逆ギレ。
カンボジアは地理的に西はタイ、東はベトナム、北はラオスと国境を接しており、東南アジアを中心に暗躍する特殊詐欺グループのリーダーたちが、逃走しやすい状況にあるとT氏はいう。
カンボジアもタイも金さえ払えば、警察官や警察関係者らが日本から逃走してきた犯罪者らに情報を渡してくれるという証言もある。国際手配されている特殊詐欺グループのトップとみられる見立真一容疑者は、山口容疑者の中学校の同級生だったといわれる。彼らにとって東南アジアは逃走しやすく、隠れやすい場所といえる。だが現地では関東連合の元メンバーとして、特殊詐欺に関わる人物として有名だったという。
「今まで逮捕できなかったのは、日本の警察がトロいというか…」とT氏は言葉を濁した。
金さえあれば犯罪者でも暮らしていくことができるが、逆に「金さえ払えば、すぐに犯罪者を捕まえてくれる」とT氏がいうカンボジアの捜査当局。国を跨いだ捜査の難しさがあるとはいえ、現地では多くの人が山口容疑者や特殊詐欺グループの存在を知っていただけに、 “やっと捕まえたか”という感覚だという。特殊詐欺グループの拠点がある東南アジアでは、日本の警察への評価が厳しいようだ。