党内外から“高市待望論”も浮上(撮影/田中麻以)
決選投票で「男に入れろ」という指令
──昨年の衆院選で、高市さんの演説の日時を党のホームページで確かめようとしたら、応援弁士の予定一覧にお名前がありませんでした。
「私は役員じゃないし、もう思い出すのも嫌なぐらい、殺害予告が相次いでいましたから。安全上の問題で、党が配慮してくださったのでしょう」
──でも、直前の総裁選で党員人気1位なのだから、もっと存在感を出してもよかったのでは?
「だって、私は負けたんですから」
──どうして石破さんに負けたんですか?
「自分の力が足りなかったんですよ。私は国民的な人気があるわけではなかったので、『選挙の顔』にはならないと判断されたのだと思いますよ」
──しかし、石破さんに大きく差をつけて決選投票に残った。いよいよ女性総理が誕生すると思いながら見ていました。
「いや、実は一回目の得票数を見た瞬間に、『負けた』と思いました。でも、しょんぼりしていたら両隣に座っている推薦人の議員が『勝った、勝った』と笑顔なのに、申し訳ない。だから、ニコニコはしていたのですが」
──すると、決選投票直前の演説の時は、すでに敗北感でいっぱいの心理状態だったわけですか!
「絶望的な気分でした。たとえ党員票が一位でも、決選投票は国会議員票で勝敗が決まります。麻生派以外の派閥は解消されましたが、まだ多くの議員が旧派閥単位で動いていましたから、無派閥の私は『数』を確保する必要がありました」
──終盤、各候補者が麻生太郎さんや二階俊博さんに「重鎮詣で」をしていましたね。
「投票日の朝、ある旧派閥で決選投票に関する指令が出たと聞きました。『男と女が残ったら、男に入れろ』と。つまり、私が決選投票に残っても、あの旧派閥の票はまるごと来ない。それで計算したら、足りなかった」