「103万円の壁」の引き上げや消費減税についてはどう考えているのか(撮影/田中麻以)
──連日の討論会では、本命視された小泉進次郎さんがちぐはぐな言動で失速した一方で高市さんは安定していた。なのに、最後の演説で精彩を欠いた。5分の制限時間を超えても話し続け、選管から終了を促されました。
「決選投票前の演説というのは、従来の総裁選ルールにはなかったものですから、当日の早朝に陣営の議員からの連絡で確定事項だと知りました」
──てっきり、前夜に、猛特訓して臨んだのかと。
「当日は朝から閣議があって、その後に大臣記者会見も控えていたので、その準備に集中しました。しかも、記者会見が長引いたのです。そのまま高市陣営の送り出し式(決起集会のこと)に行き、党本部での本番でした。『最悪の演説だ』という自覚はありました」
──本当はどんなことを訴えたかったのですか。
「あの日が、安倍晋三元総理の国葬儀から2年目の日だったことと、安倍元総理が苦労された経済成長に向けた取り組みの重要性です。それから、私のキャッチコピーは『日本列島を、強く豊かに。』でしたから、日本経済を強くできる確信を持っていること。そして、食糧安全保障、エネルギー資源安全保障、健康医療安全保障、防災対策、サイバーセキュリティ対策、国防力強化に、急いで取り組みたい、と」
(第2回に続く)
【プロフィール】
常井健一(とこい・けんいち)/1979年、茨城県生まれ。ライブドア、朝日新聞出版を経て、フリーに。著書『無敗の男』(文藝春秋)が大宅賞候補になるなど、数々の独占告白を手掛け、粘り強い政界取材に定評がある。ラジオ番組『長野智子アップデート』(文化放送)にレギュラー出演中。
撮影/田中麻以
※週刊ポスト2025年5月2日号