「10代の頃は精神的にゆらぎまくっていた」(上白石)
「英子がとても陽気な役だからなのか、年々人見知りがなくなっていまして。子供の頃は、人に挨拶もできず、母親の後ろにずっと隠れているような人間でしたが、いつからか、『人見知りって何の役に立つんだろう?』って。
最近は『人見知りをやめてみる』っていうことを意識しています。楽しいです。自分から殻に閉じこもるよりも、殻を割っていろいろな人と話をするほうが面白い。大きな変化ではないですけど、現場での立ち居振る舞いは年々変わってきている気はします」
客観的に自分自身を見つめ直すことで、ポジティブな方向へ自らを変える姿勢は、過去のインタビューで自身を「まっさらな白い紙」と例えていたことからも、変わらないことがうかがえる。
「自分のことを一人の人間だとは思っていなくて。その時に演じている役とか、自分の状態でどんどん変化していくのが人間なのかなと思っています。今の自分を例えるとなんでしょうね……。例えではないですが、今は『オタク度』が加速して、いろいろなことを追求したくなる時期かもしれません」
初めてのラップ歌唱に困惑
上白石はadieuとして音楽活動をしているが、劇中では月見英子として歌唱することになる。あるイメージを持って英子の歌い方も追求した。
「adieuは内省的な歌い方で、ほぼ自分の素に近いんですけど、英子はどんどん外にエネルギーを発するイメージでした。Saucy dogの石原(慎也)さんに書いていただいた映画主題歌『Count on me』は全部のフレーズがサビに感じるような力強い曲です。ボイストレーナーの先生に『パワフルな歌い方をしたいです』と相談をして、研究を重ねました。普段の自分の声よりも、もっとブライトで芯のある声を目指しました」