「adieuは内省的な歌い方で、ほぼ自分の素に近いんですけど、英子はどんどん外にエネルギーを発するイメージでした」
さらに本作の監督を務めた映像ディレクターの渋江修平の演出がきっかけで、人生初のラップにも挑戦した。
「音楽フェスの控え室で、赤兎馬(ELLY)さん、KABE(宮世琉弥)くんとラップをするシーンが撮影で一番びっくりしました。まず、渋江監督が『ここでやろうと思います』と指をさしたのが、大きいテーブルの上で、本当に乗って大丈夫なのかなと驚きました。
ただ、渋江さんのすごいところは、映像として完成したものを見ると『ああ、そういうことだったんだ』って分かってくる。内容のリアリティを突き詰めていくよりも、突飛な状況や、視覚上の面白さを追求している方なので、試写を見た時に『ああ、すごく面白いな』と思いました。1個先のことをずっと考えていらっしゃる監督で、とても信頼しています。
ラップをすることの不安もありました。事前にラップの音源はいただいていたんですけど、リハでその通りにやると、監督からは『英子はもっと言葉っぽい感じでお願いします』と言われて。セリフのようにラップでも噛むことがあるのかなと思っていましたが、意外と噛まなかったところも面白かった。音に乗っかって言葉を発すると、感情も自然に吐露できるのも発見でした。adieuとしてラップをやるかは、正直分からないのですが、やっても面白そうだなと思います」
贈り物の相手は?
2025年2月には25歳の誕生日を迎え、今までに歳を重ねたタイミング以上に年齢を自覚する瞬間があった。
「どんどん“自分への許し”みたいなものが増えてきて、凹んでもあまり自分を責めなくなりました。昔は失敗したら、ずっと引きずって落ち込み続けることがばかりでしたが、最近は1日経ったら『もう過去だし』とパチンと自分を切り替えられるようになってきていて。
10代の時から精神がすごく揺らぎまくっていた時期があったので、そういう意味ではメンタル、フィジカル共にタフになってきているのかもしれません。自分で自分のことをちゃんと保てるようになってきた証拠だと思うので、それは大人になったかなと思います」