『おかあさん』第178話「あなたを呼ぶ声」(デジタル修復版)より。脚本は大島渚が務めた
HDリマスター・AI技術で「顔が見える」
当時のテレビドラマは使い捨ての意識も強かったため、映像がほとんど残っていない。保存されていたとしてもVTRやフィルムが混在していた。しかし、実相寺昭雄は初期の作品を地方への番販などを理由にして個人的に所有していたという。
今回の上映作品の中には、TBSには残っていなかった「あなたを呼ぶ声」「さらばルイジアナ」「汗」の3本が含まれており、これらは実相寺研究会に残されたVHSデータからデジタル修復されたものだ。
『ウルトラQのおやじ』についても、現存する16ミリフィルムにHDリマスターを施し、さらにAI技術を用いた傷の除去などの高画質化処理を行っている。
「80年代にVHSで一度発売されていて、2013年に発売された『ウルトラQ』のDVDボックスにも特典映像としてついていますが、それはVHSマスターでした。今回は16ミリフィルムを会社から取り出してきて、HDリマスターし、さらにAIをかけて傷を取っているので、かなり高画質です。
円谷英二や奥様、息子の円谷一も出ていてかなり貴重な映像。実は脚本家の金城哲夫も出てるんです。映像の冒頭で子供たちにインタビューをしているのが彼なんですが、リマスターして初めて気づきました。特撮ファンからしたらサンガ対ガイラの着ぐるみの質感があんなにくっきり映っているのはなかなか観られるものではないので、ぜひ劇場で観てほしいですね」