今田美桜(写真/AFLO)
「いい表情しているねぇ!」
カメラが回っていない時も今田からはエネルギーをもらえると語るのは、彼女の出身地・福岡の「博多ラーメン膳 小笹店」の太田大作店長だ。
「6年ほど前に番組の撮影でいらしたのですが、その時は今田さんのことを知らなかった。彼女は中高時代にも来店されていたようで、『これこれ』と言いながら、ラーメンに紅生姜と胡麻をトッピングして食べてくれた。
しかも、カメラが止まった後にスープを飲み干してくれたんです。撮影がなくても美味しそうに食べる今田さんの姿を見て、うちのラーメンが好きなんだなあ、と伝わってきて励まされました。今の活躍は率直に嬉しい。応援しています」
今田を“応援したい”という声は共演者からも聞こえてくる。『劇場版トリリオンゲーム』で今田と父娘役を演じた俳優・國村隼(69)はこう語る。
「父娘役といっても、愛情あふれる親子ではなく、対立する難しい関係性でしたが、演じるなかで、役柄の解釈が私と同じ方向性だなと感じました。“同じタチ”だなと。お互いじっくり話し合って擦り合わせるのではなく、ぶつかり合って化学反応が起きるような。私の演技の投げかけに対するアクションに、役者としての“ベースが同じだ”と感じたんです」
とりわけ印象に残るのは、抗議する娘を父が唐突に抱きしめる場面だったという。
「それまでビジネス優先で情のない親子という描かれ方が続いたからこそ、私は頬と頬がつくように強く抱きしめた。それを受ける今田さんは、抱擁を拒まず、それでいて気を許していないので体は硬い、という見事な心情の演技で返してくれました。ここでも共通の意識を感じました」(同前)
國村は今田という女優に「出逢えて良かった」と語る。
「彼女とは40歳も離れているけれど、その演技たるや堂々としていて、素晴らしい女優さんだと思いました。同じ感覚を持つ共演者に出会うと本当に嬉しいものです。現場に入ると集中して周りと一切会話をしないような方もいますが、今田さんはとにかく明るい。スタッフへの気遣いを含め、周りとしっかりコミュニケーションをとって作品を作り上げようとする姿勢を感じました」
そう評する國村も、『あんぱん』の今田に魅了されているひとりだ。
「もちろん毎日観ています。いい表情してるねえ! と思いました。『この子を毎朝見て応援したい』と視聴者に思わせる、元気にしてくれる表情です。これは朝ドラではとても大事なこと。私も朝ドラは『芋たこなんきん』(2006年)で経験しましたが、出づっぱりで長丁場の撮影は肉体的にも精神的にも本当に大変です。だからこそ、応援したい。頑張ってほしいです」
ヒロイン・のぶを応援する視聴者も元気100倍になれることだろう。
※週刊ポスト2025年5月9・16日号