『-196℃の願い 卵子凍結を選んだ女性たち』(朝日新聞出版)
凍結卵子は「ムダ」なのか
なお、凍結卵子の使用率は、「使用率が高いから良い、低いからダメ」などと一概に語れるものではない。結局、自然妊娠で授かったから、“(凍結卵子を)使わずに済んだ”という人も多いのは先述の通り。そして凍結卵子を使わずに済んだことについて、「高いお金を払って凍結したのに、もったいない」と後悔する人は皆無だという。
「卵子凍結したこと自体を後悔した人には、今まで会ったことがありません。凍結卵子があることで、心に余裕を持って妊活できた。それが自然妊娠につながったかも、などとポジティブに考える人の方が多い印象です」(同)
確かに取材を通じても、「卵子凍結をしたことに後悔はない」という声が多い。実際に使うかどうかは別として、「卵子凍結が精神的な安定につながった」という声や、「“あの時凍結していたらという後悔をしない”という達成感がある」という声もある。卵子凍結のコストパフォーマンスというのは、「実際に使用するかどうか」という使用率の尺度だけでは測れないもののようだ。
※宮崎の「崎」は正確には“たつさき”
(第2回に続く)