香港政府の圧力について、周氏は「陳主席が立法会議員選挙に立候補したが、香港政府は我が党が掲げる本土主義や独立、反共が香港の憲法といわれる香港基本法に明確に違反しているとして、選挙委員会が陳主席ら6人の立候補を拒否し、出馬が取り消されたのだ」と憤る。
さらに、選挙で当選した民主派議員2人が議会での就任宣誓で「香港独立」を明言したため、中国全国人民代表大会(全人代=国会に相当)の常務委員会が香港基本法に違反しているとして、2人の議員資格をはく奪。これに加えて、他の民主派の当選議員4人についても、香港政府が資格取り消しを求めて司法審査を申し立てており、2月にも審査結果が発表される。
これについて、1997年7月の中国返還以前の英国統治下における香港政庁ナンバー2で、現在はシンクタンク「香港2020」の陳方安生(アンソン・チャン)代表は「議員資格の取り消しは彼らに投票した10数万人の民意を否定し、政治的な迫害を加えことと等しく、議会の自主・自立および当選議員の権利をないがしろにするものだ。
また、就任宣誓のやり直しを求める議員の資格はく奪も明らかに悪意のある政治的動機に基づいており、公衆の利益に反する」などとして、香港政府や中国全人代を強く非難している。
【PROFILE】そうま・まさる/1956年生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業。産経新聞外信部記者、香港支局長、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員等を経て、2010年に退社し、フリーに。『中国共産党に消された人々』、「茅沢勤」のペンネームで『習近平の正体』(いずれも小学館刊)など著書多数。近著に『習近平の「反日」作戦』(小学館刊)。
※SAPIO2017年3月号