「その後、4回ドタキャンされたんです。結局、日曜も風邪が回復しないからと、ドタキャン。その埋め合わせにと決めた予定日も、その日は平日だったこともあり、急な仕事が入ったと直前にドタキャン。4回目は休日でしたが、もうそのときは、明確な理由も告げられずドタキャン。その度に、すごくすごく申し訳なさそうなラインは届くのですが、普通に考えて、4回ドタキャンってありえないですよね。
ただ、不思議と“怒る”という感じじゃなかった。クズだな、と呆れはしましたけど。付き合ってすぐだったから、怒るほどの間柄でなかったのかもしれないし、それだけ私が彼を好きだったといえるのかもしれない」
とはいえこんな男と将来はないだろうと、祥子さんから連絡を取るのは一切やめた。
◆正しさに拘泥(こうでい)したら結婚なんてできない
和明さんからも連絡が途絶え、数カ月が経った。婚活を再開せねば、次は誠実な人を探そうと、自分を奮い立たせていたころ、「謝りたい。もう一度会ってくれませんか」と、連絡があった。
「またドタキャンされるかな? と疑いつつも、ヒマな日だったのでOKしたんです」
和明さんが指定した六本木の瀟洒なレストランに時刻どおりに行くと、すでに和明さんは到着していて、笑顔で祥子さんを出迎えた。そのとき、「ああ、ようやく会えた」と、祥子さんの胸に熱いものがこみ上げてきたという。そして、「あのころは難しい仕事が立て込んで身動きがとれなかったんだ」と、4回のドタキャンを謝罪された。
「でもなんていうか、私が思っていたほど、悪びれていませんでした。『オレ、身内の人間にはつい甘えちゃうんだよね』とか、『外で気を張ってる分、好きな人にはダメな自分をさらけ出したい』とか、むしろあっけらかんとしている。『そういうオレを理解してくれる祥子さんみたいな優しい人に初めて出会った』とも言われて、じんと来たりしちゃったりして……」
付き合いを再開しても、和明さんの“ドタキャン癖”はなおらなかった。にもかかわらず、結婚に至ったのはなぜか。