ドナルド・トランプ大統領(74才)の姪で臨床心理学者のメアリー・トランプ(55才)が上梓した暴露本の邦訳『世界で最も危険な男』(小学館)が日本でも出版された。ドナルド・トランプとはいったい何者なのか。どうしてあのような性格の人間が生まれたのか──。
ドナルド・トランプは1946年、トランプ家の第4子として、米ニューヨーク州に生まれた。祖父フリードリヒ・トランプは、ドイツ西部の小さな村に生まれ、アメリカへと渡った移民。飲食店や売春宿を営み、ひと財産を築いた。
その財産をさらに大きくさせたのが、父フレッド・トランプだ。フリードリヒがスペイン風邪で急死すると、家長となったフレッドは建築業の勉強に専念する。瞬く間にその才能を開花させたフレッドは15才の若さで不動産会社を創業し、ニューヨーク市内に数多くの住宅を建設するなどして短期間で会社を急成長させた。政財界の重要人物との人脈も広かった。
その一方、家庭のことは妻のメアリー・アンに任せきりの亭主関白でもあった。“育児は女がやるのが当たり前。自分にとって重要なのは家庭より仕事。だが、家族のことはすべて自分の一存で決める”という考えを持つ父親だったという。
暴露本でメアリーは、ドナルドの人格分析を行っている。
「ドナルドは、他人とうまくつきあう能力を欠いた『社会病質人格障害者(ソシオパス)』です。世の中に出て他者とまじわって生きていく力は損なわれ、彼は常に孤立していました」
ドナルドがそのような人格になった背景に、子供にあまり興味を示さない父親の存在があったことは、想像に難くない。
母の不在が与えた「一生消えない傷」
父親が愛情を与えなくとも、もしも母親からの愛情を受けていれば、ドナルドもいまのような人間にはならなかったかもしれない。しかし、母のメアリー・アンがドナルドの歪んだ精神形成を決定的なものにしたという。メアリーは、メアリー・アンをフレッド同様「親になるには問題がありすぎる人」と評価する。
メアリー・アンは自分を“苦労の多いかわいそうな人”と思い込み、他人よりも自分を優先する面が強かったという。精神的に不安定で、女性差別的な夫に常に怯えながら生きていた。そんな彼女は息子たちに積極的に愛情を見せることもなかったという。