そんな不安を抱く裸官たちが、日本での不動産購入に興味を示す可能性はないだろうか。
振り返れば、2015年と2016年には中国人の「爆買い」が話題になった。あの時、買われていたのは電気製品や日用品だけではない。都心や湾岸エリアのタワーマンションも多くの中国人が買い漁っていた。
当時、日本の大手マンションデベロッパーは、自社販売物件の購入者に占める外国人比率を、内部規定では2割以下に設定していたとされる。
あるタワマンの販売センターで、日本人の購入検討者が外国人比率の高さに対する不安を口にすると、いけしゃあしゃあと「当物件では現時点で約11%です。最終的にも15%に達しないように調整いたしますのでご安心を」などとトークしていた。
ところが、その物件が全住戸の3分の1程度を未契約のまま完成在庫になると、北京や上海で販売フェアを開催して「何戸でもご契約いただけます」と、営業していたのだ。
実際に全体の何割を外国人が購入したのかは、いまだによく分からない。それを知っている売り主や管理組合も、情報は一切外に出さない。当たり前だが、外国人比率が高いことは、資産価値を高めることにはつながらないからだ。
さて、中国の裸官たちは今、資産の逃避先に悩んでいる。アメリカ政府の権力が及ぶ先では、大切な資産がいつ凍結や没収の憂き目にあうか分からないと恐れているのだ。
その点、日本政府は中国人に対してそういう荒っぽいことはしないだろうという根拠はないが何となく確信的な予感を持っていても不思議ではない。日本は基本的に私有財産を手厚く保護する国だ。外国人が不動産を保有するにも、ほとんど制限がない。実際のところ、こういう国は珍しい。
ただ、今のところ中国人たちが日本の不動産を買っているという目立った動きはない。海外から日本の不動産を購入するためのファンドマネーが入ってきているという話は聞くが、それに裸官マネーが含まれているのかどうかの実態も掴めない。