一方、日本の不動産市場は今のところ手堅い動きを見せている。個人投資家向けの「利回り物件」市場も、昨年は低迷したが今はやや好調。「給付金バブル」で思わぬボーナスを手にした個人投資家たちが投資向け物件を漁っている。
前述したようにテレワーク需要で中古マンション市場も一見好調。この様子を目にして、裸官たちが「日本の不動産市場は底堅い」と見なせば、今後彼らの英語圏諸国からの逃避マネーが一気に流入してくる可能性は十分に考えられる。
いま、各国ともにコロナ対策で金融はユルユルになっている。簡単に言えば、お金が余っている。そのお金が流入する先ではバブルが生じる。現に日米の株式市場では共に企業業績の悪化が鮮明であるにもかかわらず、高値をキープしている。余ったお金が、日本の不動産市場の一部に流れ込んできても不思議はない。
しかし、不動産というものは金融商品とは基本的に「似て非なるもの」である。バブルが終われば需給によって価格が決まるようになる。不動産は基本的にそこから生まれる利用価値によって価格が決まるのだ。
上がった価格はいつか、その利用価値に基づいた適正水準に是正される。海外のファンドや裸官たちの逃避マネーが流入しても、それを実需だと見誤らない冷静さを持つべきだろう。