「聖地」だった修学旅行生の数も8割減
さて、京都を訪れるのは一般の観光客だけではない。
この地は奈良と並んで古くから修学旅行の「聖地」で、平成終盤までは、年間100万人を超える小中学生、高校生が訪れていたものだ。それが年々減少し、2019年の実績は70万4000人となっていた。それでも市内には、春と秋の修学旅行シーズンの売り上げが過半というホテルや旅館もあったほどだ。
それが一変した。昨年はコロナ禍のため中止や延期となった学校が多く、市の発表では、2020年に京都市を訪れた修学旅行生は約13万人(推計)にとどまった。前年に比べ8割もの大幅減である。しかも、延期していた学校が実施を予定していた今年1─3月も、緊急事態宣言の影響で訪れる学校はほとんどなかった。
つまり、コロナ禍の2020年は、外国人だけでなく、修学旅行生の多くも消えてしまったのである。
コロナ禍で逞しく生きる店舗も
こうした数字、現象だけをみると大変だ、大変だということになるが、長い目で見たとき、コロナ禍による京都の変貌はむしろ「いい変化」につながっていくのではないか。
コロナ禍の長期化で、インバウンドをはじめ観光客数が激減したことで、古都はかつての落ち着きと静寂を取り戻した。市内の中心部に住む男性はこう語る。
「インバウンド増を狙って進出してきた府外の企業や店舗は厳しい状況にあるようですが、地元で長年商売をやってきた店は、一時は苦労されてたけど、ネット通販に手を伸ばすなど状況変化に対応してなかなか逞しくやってはります」
悲嘆の声ばかりではないというのである。オーバーツーリズムの弊害から解放され安堵している人たちも少なくない。